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海洋機構物語  作者: FORCE
混沌期
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プロローグ

海洋機構側から見たログ・ホライズンです。やや独自設定を含めております。(※途中、三日月同盟を悪く書いている場面がありますが、これは海洋同盟の想像上の物であり、実際の三日月同盟とは違うものだと断言しておきます。)

間違った理論は、人々を真実から遠ざける。


一匹の白いカラスは『全てのカラスは真っ黒だ』という理論を覆す。


この話は、白いカラスの発見を教えてもらった者達の物語。



大人気オンラインゲーム『エルダーテイル』。3年ぶりの拡張パック『ノウアスフィアの開墾』。

ある瞬間ゲームをプレイしていた人全てがゲームの舞台である『セルデシア』に移転してしまったのだった。

日本だけで約3万人。全世界を含めれば100万人を超える人間が異世界に転移してしまった『大災害』。

原因不明、行先不明、責任者不明の何もわからない状況において人々は嘆き、悲しみ、怒り、途方に暮れていた。


人数だけならばアキバ最大級のギルド『海洋機構』。運悪く拡張パック『ノウアスフィアの開墾』記念パーティーをやろうとしていたメンバー全員がこの世界に引きずり込まれてしまったのだった。


自分の体が変わってしまった違和感。周りに満ちる悲鳴。原因不明のこの事態に皆が思い思いの意見を出しながらその心情を吐き出していく。


その混乱をギルド長たるミチタカが一喝する事でなんとか混乱は収まり、全員が散り散りに分かれて情報を集めだす。


『コマンド』システムの『発見』、エルダーテイル時代にPCが習得していたスキルが使えるようになっていたこと。

『禁止区域』の設定など全てが自分達がゲームの中に入り込んでしまった事を指し示していた。


だが、そんな中、とんでもない『発見』をしてしまった男がいた。


「なんだって!!」


ギルド『海洋機構』の会議室でちょっとした騒ぎが起きていた。一人の男がまくしたてるように話す言葉を他の人間が聞き入るようにその言葉を聞いている。


「はい、『コマンドを使わず、何か大きな変化をさせようとすると失敗作になってしまう』んです!!」

「それはお前の腕が不器用なだけじゃないのか?」

「違います!! 確かにこっちじゃあ〈調剤師〉ですけど、あっちじゃ図工はいつも5だったんですよ!

 その俺が失敗するなんて、世界のシステム的にそうなってるとしか思えないんです!

 それに俺だけじゃない、他の奴等だって手で作ろうとして失敗してるんです!!」


むきになってその男は言葉を返す。


「それの何が問題なんだ? ようはきちんとコマンドを使って作っておけば特に問題ないってわけだろ?」

「コマンドで全部きちんと作る事ができればの話ですけどね。」


それの何が問題かという質問に聞かれた男が皮肉気に返事をする。


「何?」

「装備品とか回復薬とかはコマンドでポンッポンッと作れば問題ありません。

 ですけど食事はコマンドで作ったのを食べると………味もしなけりゃ食感もない物しか作れないんです。」

「だったら、手で作れば………。」

「話聞いていましたか?『コマンドを使わず、何か大きな変化をさせようとすると失敗作になってしまう』んです。」

「?? それってどういう事だ?」

「ですから、手で料理を作る事もその『大きな変化』に含まれます。つまり手で料理を作ると、こんなものになってしまうのです。」

男はそう言ってバッグの中から何か緑色のどろどろとした物体をとりだす。

「……つまり、コマンドで作れるものだけで俺達は何とか生きていかなきゃいけないって事か?」

「そうですね。幸い、コマンドで作った物を食べても問題は無いという事ですけど…………。」


料理は緑色の物体に、木材は前衛芸術に、服は灰色のボンボンに変化してしまう。誰もやってないがおそらく鍛冶屋も同じようなことになるのだろう。

この『コマンド以外で物を作ろうとすると失敗する』という法則はしばらくの間『海洋機構』の間に広まり、《クレセントムーン》・《円卓会議》成立までアキバの発展を阻害する事になる。


何を目的とすればいいのか。何処を目指せばいいのか。何もわからぬままたった100万人の迷子達はこの世界を動かし始めるのであった。

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