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女子高生達の裏事情  作者: 夢未 照代
第一章~出会い~
5/61

ニックネーム

なんか今回、かなり長いです(´・ω・`)

読むの大変でしょうが、サーセン(´・_・`)


今日からは授業がある。そして放課後には掃除まである。

「授業嫌だなー」

楽音歌が溜め息と一緒に呟いた。

「確かに。面白い先生とか居ればいいけどね」

「あっ、面白い先生といえばねーっ」

楽音歌が話した中学の頃の話を聞いて、私は学校に着くまでずっと笑っていた。


「もー、癒羽ったら笑いすぎだよー」

「だって、楽音歌が面白い話するからー」

腹を抱えて笑う私を、楽音歌が半分呆れ顔で見ていた。

「二人共おはよー」

と、声をかけてきたのは案の定、上埜さんだった。

その横には、段林さんも居た。

この二人、仲良かったんだ……。

「おはよう」

楽音歌と私の声が重なる。

不意に、段林さんと目が合った。

声をかけるべきなのだろうか……。

「えっと、おはよう、段林さん」

「……ども」

段林さんは無愛想な声で答える。

声をかけちゃいけなかったのかな……。

「癒羽、行くよ?」

「あ、うん」

私達は4人で教室へ向かった。


「田川さーーん!」

廊下を歩いていると、後ろから名前を叫ばれた。

「あ、如月さん、おは――」

「はいっ、これっ、鎮紅のメアドねっ」

如月さんに紙を渡される。

「え、あ、うん、ありが――」

「かなっしーー!!」

私が言い終わらない内に、如月さんは向こうへ走って行った。

「本当にメアド交換しちゃったねー」

楽音歌がのんきな声で言った。

「てか……、朝から元気すぎだろ……」

さっきまでずっと黙っていた段林さんが呟いた。

よしっ、今なら話せるかもっ!?

「段林さんは、元気ないみたいだけど……?」

「……学校とかだるいっしょ」

「ま、まあ……」

そして沈黙。

ああダメだな、私……。


退屈な授業。

先生はどの人も真面目な人ばかりで、面白い人なんて一人も居なかった。

現在3時間目が終わり、休み時間を過ごしていた。

こういうときの時間は長いな。

私の後ろには、段林さんが座っている。

『段林さんと仲良くなりたい』という気持ちが、どこかにあった。

「……なんか、どの先生もつまらなかったね」

私がそう言うと、段林さんはチラッと私を見て、すぐに目を逸らした。

「先公とか、どれもつまらんっしょ」

「まあ、そうだけど……」

よく見ると、段林さんは机の下で携帯をいじっている。

「……この学校、携帯は禁止でしょ?大丈夫なの?」

「バレなきゃいいんだよ」

薄々思っていたが、段林さんは結構グレているのかも知れない。眉も剃っているか抜いているだろう。

「なあなあ」

突然、上埜さんが肩を叩いてきた。

「あ、何?」

「今日の弁当さ、一緒に食べない?4人で」

「いいけど、4人って?」

「そっちらと、こっち」

「そっちら」というのは、私と段林さんのことで、「こっち」というのは、上埜さんと楽音歌のことらしい。

「でさ、そっちの下の名前、何?」

「癒羽だよ」

「癒羽か……」

上埜さんは、紙に何かを書き出して考え事をしている。

「……上埜さん、何してるの?」

「みんなのニックネーム考えてるらしいよ」

楽音歌が答える。

「因みに、私のことは『とね』って呼ぶんだってさ」

「な、なんで『とね』?」

「なんか、『いとう』の『と』と、『らねか』の『ね』だって」

「変わってるんだね……」

ユニークというかなんというか……。

「段林さんは、上埜さんに何て呼ばれてるの?」

「……まだ」

「あ、そっか」

これまた終わっちゃう会話。

いつになったら心を開いてくれるのだろうか……。

「出来た」

上埜さんが紙を持ってきて言った。

「今日からそっちのこと、『タユ』って呼ばせてもらう」

「……『タユ』?」

「『たがわ』の『た』と、『ゆう』の『ゆ』」

「な、なるほど……」

「因みに、そっちのニックネームも決まったよ」

上埜さんが、段林さんの方に向き直って言う。

「『だんばやし』の『ヤ』と、『かなえ』の『エ』で、『ヤエ』」

ヤエって……。私的にはどうかと思うが……。

「ヤエ、それでいいか?」

上埜さんが段林さんに訊く。

「……ウチは構わんよ」

「OK。じゃあヤエで」

すんなりOK。上埜さんは変わった子だ。

「じゃあ、上埜さんのことは何て呼べばいい?」

「何でもいいよ」

「何でもいい」と言われると、少し考えてしまう。

「じゃあ……『くーちゃん』ってのは?」

「嫌だ。やめて」

上埜さんが速攻で拒否した。

「え、何で?可愛いじゃん」

「ちゃん付けはヤダ。嫌いだ」

「えー。……じゃあ『胡桃』は?」

「OK」

何でもいいと言ったのに……。

そしてチャイムが鳴り、みんな席に着いて授業を受けた。


待ちに待った昼休み。

「もうお腹ペコペコー」

楽音歌が自分の椅子を持ってきながら言った。

私は段林さんと机を合わせる。

「よし、じゃあ食べるぞ」

胡桃がさっさとお弁当を広げる。

それにつづき、私達もお弁当を広げていく。

「とね、もう少しそっち行け」

「えっ、嫌だよー。こっちだって狭いんだからー」

いつの間にか、楽音歌と胡桃は仲良くなっていた。

私も、段林さんと仲良くなれたらいいけど……。

「そういえば、段林さんのことは何て呼べばいい?」

私がそう尋ねると、段林さんは視線を変えないまま答えた。

「別に、何でも」

何でもか……。普通に『奏慧』って呼んでもいいけど、それじゃつまらないよね……。

私も胡桃も変わらない考えなのかも知れない。そう思って苦笑する。

「じゃあ……、『かななん』は?」

「あ、『バナナ』って聞こえた」

楽音歌がそう呟き、それを聞いた私と胡桃が爆笑する。

「まあ……、いいよ。それで」

「OK!よろしく、かななんっ!」

取り敢えずニックネームは決まった。これで少しは仲良くなれますように。

何となく、周りをキョロキョロしてみる。

落ち着きが無いのは私の悪い癖だ。

そこで目に入ってきたのは、一人でお弁当を食べるカナガさんの姿だった。

(カナガさん、いつも一人だなあ……)

友達とか作らないのだろうか。一人が平気な子なのかも知れない。


昼休みもすぐに終わり、5、6時間目へ突入した。

ここまで来れば、一日ももう少しで終わりだ。

「はああ……」

後ろから聞こえる深い溜め息。今日で何回聞いただろうか。

かななんは、溜め息が癖なのかな……?

「かななんって、よく溜め息つくよね?」

後ろを向き、小さい声で話しかける。

「そりゃ……、こんな学校に居ちゃ、溜め息も出るっしょ……」

「まあ確かにね。でも、溜め息つくと幸せが逃げちゃうよ?」

私がそう言うと、かななんは『はあ?』とでも言いたげな目で私を見てきた。

「こんな学校に居ること自体、幸せが逃げてくよ」

よっぽど、この学校が嫌いなのだろう。かななんの表情はいつもだるそうだった。


放課後。今日から掃除が始まる。

掃除は名列順で班を決め、前半後半に分け、一週間ごとに各班で掃除をしていく。

私はギリギリ後半の班になり、掃除は来週からになる。

「楽音歌、私は下駄箱のところで待ってるね?」

「うん、わかったー」

楽音歌と胡桃は前半の班だ。

「かななんは、誰か待つの?」

「まあ……、クルミ待つかな」

「そうなんだ。じゃあ、一緒に下駄箱のところで待ってよう?」

私が下駄箱のところに向かうと、かななんは何も言わずについてきた。

「……その、ごめんな」

「へ?」

歩いている途中、かななんがいきなりそう言ってきた。

「ウチ、無愛想で……」

「そんなっ、全然気にしてないよっ」

本当は、少し気にしていたが……。

「ウチさ、こう見えても人見知りだから……すぐ人を睨んじゃったりするんだよね」

「そうなんだ……」

人見知りなんて意外だな……。とてもそうには見えないが……。

「……前から気になってたけど、かななん、もしかして田舎出身?」

「そうだけど、何で?」

やはり。前から訛りが気になっていたのだ。

「実はさ、私も田舎出身なんだよ」

「……まじで?」

かななんが目を見開く。

「でも……、ユウ、訛り無くね?長い間住んでるとか?」

「ううん。楽音歌に教えてもらったの」

「へえ……」

そんな話をしながら歩いていると、角を曲がったところで誰かとぶつかった。

「きゃっ」

思い切り尻もちをつく。

「ああ、大丈夫ですか?」

相手は、とても背が高い――カナガさんだった。

「ご、ごめんなさいっ」

「いや、こっちもボーッとしてたから……」

そう言って、カナガさんは私に手を差し出してきた。

「立てる?」

低音の声で言う彼女は、マンガに出てくるような王子様に見えた。

「だ、大丈夫ですっ。立てますっ」

そして、ありえない早さで立ち上がる私。

「良かった。じゃ」

それだけ言って、彼女は教室の方へ歩いて行った。

「……大丈夫か?」

かななんが心配そうな目で私を見ている。

「あはは、大丈夫だよ。私、ドジだからさっ」


下駄箱に着くと、私達の間には沈黙が流れた。

(気まずいな……)

かと言って話すこともないし……。

「――あっ」

「え……?」

話すことを一生懸命考えていて、思いついたときに私は、思わず声をあげてしまった。

それを不審そうに見てくるかななん。

「……どうした?忘れ物か?」

「あっ、いやっ、何でもなんのっ。あははっ」

「?そうか……」

うわー。思い切り『変な子』って思われたよねコレ。

「あのさ、かななんって、何で都会に引っ越してきたの?」

「……」

かななんは私を一瞬見て、黙り込んでしまった。

「あっ、えっと、言いたくなかったらいいよ。ごめんね?」

「ああ……」

折角思いついた話題も一瞬で終了。

楽音歌、早く来てくれ……。


それから数分後。

「お待たせーー」

ようやく楽音歌と胡桃が来た。

「遅いよー」

「ごめーん。意外にも掃除が長くてー」

「ヤエ、帰ろ」

「ん」

胡桃と楽音歌が靴を履き替える。

そして、途中まで4人で帰った。


「じゃ、胡桃らはこっちの道だから」

「うん。また明日ね」

そう言って私達は互いに手を振る。

「胡桃っ!かななんっ!バイバーイ!」

何となくもう一度言ってみる。

胡桃は「バイバーイ」と言って手を振り返してくれた。

かななんは何も言わずに、手を振り返してくれた。

「癒羽、帰ろう?」

「うんっ」

かななんと仲良くなるには、まだ時間がかかりそうだ。

でも、それはそんなに長くも無さそうな気がした。

長い小説を読んでいただき、有難う御座います○┓ペコリ


次回ゎ番外編にしようと思います(沙*・ω・)

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