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冬休み
冬休み三日目。
何もする気が起きない。もちろん宿題もだ。
「はあー……」
どうしても、かななんのことが頭から離れない。
『三学期には仲直り出来るかな』とか、『絶交はしたくない』とか、そういう考えが頭の中をグルグル回る。
「癒羽~」
一階からお母さんに呼ばれ、重い足取りで一階へ降りる。
「……何?」
「ちょっとさ、買い物行ってってよ」
「いいけど。何買うの?」
「今日の夕飯の材料。今言うから覚えてな?」
「うん」
お母さんの言った材料をメモする。
「ふーん……。わかった。じゃあ行ってきます」
「気をつけてな」
(えっと、肉も買ったし、野菜も買った……)
メモと買った物を交互に見る。
買い忘れは無さそうだ。
(かななん、今何してるのかな……)
携帯を取り出し、メール受信BOXを見る。
ほとんどのメールが、かななんからのものだった。
ほぼ毎日、かななんとメールしていたんだなと、改めて思う。
イヤホン越しに、何か大きな音が聞こえた。
と、それと同時に、悲鳴も――。
――それに気づき振り返ったときには、既に遅かった。




