本当は……
かななんと口を聞かなくなってから数週間。
今になっても、かななんのことを気にする自分がどこかに居た。
見下されて腹が立ったはずなのに、かななんと仲直りしたいという気持ちがどこかにあって……。
やっぱり、私はかななんのことが好きで。
って、私、我が儘だよね……。
「もうすぐ冬休みだねー」
「早く来ないかな」
「えーっ、シズク、みんなと会えないとか寂しいーっ」
鎮紅がそう言って、嘘泣きをした。
「鎮紅、寂しかったら私達に会いに来ていいから」
楽音歌が鎮紅の背中をさする。
「本当?」
「うん」
かななんの方をチラリと見る。かななんは窓の外を眺めていた。
今、何を考えているんだろう……。
「――タユ」
「え、ああ、何?胡桃」
「ちょっと来て」
そして、いつもの空き教室へ。
「タユとヤエって、ケンカしたの?」
「……まあ」
「何でケンカしてんだよー!もうすぐ冬休み入るぞっ?それまでには仲直りを――」
「無理だよ」
私から離れていったんだ。今更謝ったって、許してくれる訳がない。
「無理じゃないっ!」
「無理なの」
「がんばれよっ!」
「がんばれない」
と、そこでチャイムが鳴った。
「タユのバカっ」
そう言って、胡桃は教室に戻った。
「……バカで結構」
私は一人で呟いた。




