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女子高生達の裏事情  作者: 夢未 照代
第五章~すれ違う想い~
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番外編~奏慧の嫉妬~

次は体育で、体育館へ移動していた。

この日は大雨で、グラウンドは使い物にならなかった。

そして、この学校は変わっていて、体育館に行くには外に出なくちゃいけないのだ。

「こんな中出るのー!?」

癒羽は文句タラタラだ。まあ、無理もない。

「濡れないために体育館で体育するのに、この中出るなら意味無いじゃーん!」

「文句言っても仕方無い。それゆけシズク隊、気合で行くよっ」

鎮紅のその言葉で、みんな一斉に走り出す。

取り敢えず、一番近くにあった屋根の下に入る。

それだけで、かなり濡れてしまった。

「よしっ、次も頑張って――」

「あの……」

近くに居た人に声をかけられた。

「あれ、落としましたよ……?」

何だろうと思い、指された方を見てみると、癒羽の肩にかけていたはずのタオルが落ちていた。

「えっ、まじで!?最悪ーっ!」

あのタオルも使い物にならないなと、癒羽は思う。

「オレが――」

「タユ、ちょっと持ってて」

奏慧が何かを言おうとしたとき、胡桃が癒羽に荷物を持たせた。

「え、胡桃?何するの?」

「取ってきてあげるから」

胡桃はそう言って、走って癒羽のタオルを取りに行った。

「ちょっ、胡桃!?」

そして、タオルを持って戻ってきた。

「あちゃー。これじゃ使えないなー」

「胡桃、わざわざありがとう」

「いや。取り敢えず、後でタオル乾かすから」

「えっ、そこまでしなくてもいいよっ」

「いいからいいから」

「わぁ、くーちゃんイケメンっ」

楽音歌が胡桃をからかうように言った。




「――クルミってさ、ユウと仲良いよな」

突然、奏慧が胡桃にそんなことを言い出した。

「どうした?急に」

「羨ましいんだよ。オレ、ユウと上手く話せなくてさ」

「何で?」

「何でだろうな。素直になれねーっつーか……」

奏慧が語尾を濁らせた。

「……なんか、嫉妬する」

癒羽にも同じようなこと言われたなと、胡桃は思った。

「……ヤエってさ、タユのこと好きなの?」

「はぁあっ!?」

奏慧が焦り出す。

「ちっ、違ぇよ!その、なんだ、ほら、ただ単に、『もっと仲良くしたいな』ってだけだよ!」

「ふーん……」

「それにさ、最近のユウ、……オレに冷てぇんだよ」

「そう?」

「そうだよ。この前だって、話しかけたのに軽く無視されたんだぜ?」

「……ヤエ、何かしたの?」

「してねーよ」

胡桃は腕を組み、少し考えた。

「……本人に聞いてみたら?」

「何て?」

「『何で冷たいの?』とか『避けてる?』とか」

「聞けるかな……」

「がんばれ」

胡桃の口癖、『がんばれ』だ。

「まあ……、そうだな」

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