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女子高生達の裏事情  作者: 夢未 照代
第五章~すれ違う想い~
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お泊り⑥

「おはよぉ……」

寝ぼけ眼を擦りながら、みんなに言う。

「癒羽ったら、寝過ぎだよー」

「あはは、ごめんごめん」

時計を見ると、昼近かった。

「とりあえず、飯にすっか。今日はオムライスな」

「やったーーっ」

胡桃が大喜びする。

「とね、トランプするぞっ」

「今度は負けないからねっ!」

胡桃と楽音歌がトランプを始めた。


「――かななん、何か手伝おうか?」

台所に居るかななんに声をかける。

「ん?いや、いいよ。ユウはドジだからな」

この言葉には、かなりショックだった。

そんなに信用無いのか自分……。

諦めて楽音歌達の様子を見ることにした。

「癒羽もする?」

「するするーっ」

楽音歌の誘いで、私も加わることに。

「タユ、ヤエと話しとけよ」

胡桃が小さい声で言う。

「……いいの、もう」

「?」

胡桃が首を傾げる。



「飯出来たぞ」

かななんの言葉に、胡桃は有り得ない速さで食卓に着く。

「くーちゃんったら、よっぽどオムライスが食べたかったんだね」

「だーから、ちゃん付けはやめろって。ヤエーっ、早くーっ」

「はいはい、ちょっと待ってろ」

私は一人、トランプを片付けていた。

「癒羽も食べよー」

「あ、うん」

かななん手作りのオムライスも、カレーと同じく凄く美味しかった。



ご飯を食べ終わり、昼の二時になった。

「そろそろ帰る?」

「そうだなー」

お泊りは一泊。本当は二泊したいところだが、流石にそれは、かななんにも迷惑だろう。

「楽しかったよ、かななん」

楽音歌が、かななんを見て言う。

「ヤエのオムライス、また食べさせてなっ」

「胡桃はオムライスだけが目的?」

みんなで笑う。

「じゃあね、かななん」

「おう。また来てくれよな」

また来ていいんだ。そう思って、少し嬉しくなる。

「うんっ」

かななんに見送られた後、私達は家に帰った。



「おかえり。奏慧ちゃん()、どうやった?」

家に帰ると、お母さんが出かけようとしていた。

「うん。楽しかったよ」

「そか。お母さん、今から買い物行ってくるわ」

「いってらっしゃい」

お母さんを見送ったあと、私は自分の部屋に入った。

携帯を開くと、かななんからメールが来ていた。

『昨日今日とありがとな。楽しかったぜ』

即行で返事を打つ。

『私も楽しかったよ!かななんの料理、最高に美味しかった!また食べたいなっ。それと――』

返事を打っている途中で、かななんの言葉を思い出した。


『ユウはドジだからな』


そうだよ。私はドジだよ。

私は、こんなドジな自分が大嫌いだった。

でも、かななんと出会ってからは、かななんが私のドジな部分をフォローしてくれる気がして、少し嬉しかった。

――それは違ったの?

それは私の思い込み?自意識過剰?

私は私なりに、このドジな部分がどうにかならないかと努力している。でも、それが見下された気がして――。

打っていた文字を全部消す。

結局、返事は『私も楽しかったよ』の一言だけにして、携帯を閉じた。

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