お泊り
テスト終わったぜぇぇ\(^ω^)/
「かななんっ、かななんっ」
「どうした?」
「今週の連休、かななんの家に泊まっていい?」
「……え?」
「因みに私だけじゃないよ。みんなもね」
胡桃は自分の家に居たくないと思っている。
かななんは一人暮らし(みんなには内緒だけど)だから、みんなで泊まりに行けば寂しさが紛れるはず。
そうすれば、胡桃も憂鬱な家から離れられるし、少しは楽になれるはず。
「この前言ったじゃん?『今度、かななんの家に泊まってもいいか』って」
「まあ、言ったけど……」
「田川、いきなりそんなこと言われても、シズク達行けるかわからないよ?」
「無理なら無理でいいよ」
逆にその方がいいし。と誰にも聞こえないように呟く。
「タユ、くるみ多分無理だよ」
「やっぱり、お父さんが厳しい?」
「うん」
「じゃあ、研修旅行だって嘘吐け」
「ええっ!?」
「私は、胡桃が少しでも楽になれればと思って提案したんだよ。家から離れれば、少しは楽になれるかと思って」
「タユ……」
他人から見たら、自分勝手で荒っぽい方法だと思うだろう。でも、これが私に出来ることだ。
「……お父さんに言ってみるよ」
「うん」
いつも自分のことで精一杯だった癒羽は、『親切』をあまり知らないのです――




