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女子高生達の裏事情  作者: 夢未 照代
第五章~すれ違う想い~
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胡桃の悩み

そんなことがあって、私はクラスの人達から避難されると思っていたが、その予想は違っていたようだ。


今日もいつもと変わり無く過ごす。

このクラスに九十田の味方は、本当に誰一人と居なかったようだ。

「そういえば、今週って三連休だよねっ」

楽音歌が嬉しそうな声で言う。

「あー、何の日だっけ?」

「何だっけー……、えっとー……。建国記念日?」

「それは二月じゃない?」

三連休か。何をして過ごそう……。

どうせ、また家でダラダラして過ごすんだろうな。

「――タユ、ちょっといいか?」

胡桃が声をかけてきた。

胡桃の声に元気は無かった。


そして、二人でいつもの空き教室に入った。

「どうしたの?元気無いけど」

「さっきから同じ言葉が頭の中をグルグル回るんだよ」

「?何ていう言葉?」

「『くるみは生きてる価値あるのかな』とか『くるみ何で生きてるんだろう』とか『死にたい』とか」

「ちょ、ちょっと待って」

突然の言葉に、私は焦る。

「どうしたの!?いきなり、そんなこと……」

「くるみは元からそういう奴だよ。普段出さないだけ」

「そ、そうなんだ……」

「なあ、愚痴聞いてくれる?」

「いいよ」

胡桃は深呼吸をした。

「あのな、くるみのお父さん、かなり理不尽なんだよ」

「ほう……」

「例えば、くるみがお湯沸かすとするじゃん。それで少しの間、その場から離れるとするじゃん。そしたらお父さん、メッチャ怒鳴るんだよ」

「ふむ」

「そしたらさ、お父さんもお湯を沸かすとき、火の元から離れるんだよ!?何な訳!?自分も離れるクセに何でくるみに怒鳴る訳!?」

「……」

大人って、やはり自己中だ。

「でも、お父さんに怒鳴れないから、ママに言うんだよ」

「うん」

「お父さん理不尽にくるみに怒鳴るんだよ。それが凄く嫌なんだよ。だから中学のとき、ママにメッチャ愚痴ってた。『何でくるみばっか怒鳴るの』とか『それだったら、くるみを産んでほしくなかった』とか」

「それを親に言った訳!?」

「言ったよ。そしたらママ、泣いちゃった」

よく言えるな、そんなこと……。

「あと、中学のとき、くるみ嫌がらせされてたんだよ。精神的に限界が来て、お父さんに学校休みたいって言ったんだよ。それでも行かされた」

「お母さんに休みたいって言えばいいんじゃ?」

「くるみの家、亭主関白」

「あー……」

亭主関白か……。あまり想像出来ないけど、厳しそうだ。

「もう嫌だ。お父さん嫌い。何でくるみばっか怒られなきゃいけないの?」

胡桃は今にも泣きそうだった。

「しかも今週の三連休は部活無いし……。家に居たら憂鬱だよ」

三連休……。

「――そうだっ」

私はいいことを思いついた。

「何?」

「胡桃っ、こっち来てっ」

胡桃の腕を引っ張り、教室に戻った。

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