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女子高生達の裏事情  作者: 夢未 照代
第四章~崩れていく絆~
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グループ外し~作戦会議~

「かななーーんっ」

廊下でかななんの姿を見つけ、私は走り寄った。

と、そこでつまずいてしまった。

「ぅわっ!?」

転びそうになった私の体を、かななんが支えてくれた。

「大丈夫か?」

「大丈夫。ありがとう」

「あんま走んなよ。ただでさえ、ユウはどんくさいんだからよ」

「はーいっ」

朝からテンションハイな私です☆

「で、オレに何か用?」

「あっ、そうそう。ちょっといい?」

「?おう」

私は、隣の空き教室にかななんを呼んだ。

「あのさ、九十田ッチのことどう思う?」

私の唐突な質問に、かななんはポカンとした。

「……やっぱりな。いつか訊かれると思ったよ」

「予想済みでしたか」

「まあな。嫌いだよ。ツクダッチ」

「まじで?」

「キモいじゃん、アイツ」

「だよねーっ」

楽音歌と胡桃に続き、かななんまで……。

「どうせ、セリチャンにも同じこと訊くんだろ?」

「あ、バレてた?」

「バレバレ~。言っとくけど、セリチャンもツクダッチのこと嫌いだぜ」

「えっ、まじ!?」

「マジ」

鎮紅以外のみんなが、九十田ッチのことを嫌いだったとは……。

「てかさー、みんなにそんなこと聞き回ってどうすんだよ?」

「だって、私一人の考えで決行出来ないもん」

「何が?」

私は、かななんの耳に口を近づけた。

「――九十田ッチをさ、このグループから外さない?」

外すには、みんなの同意が必要。私はそう考えたのだ。

「本気か?」

「本気よ。で、外すには何をすればいいと思う?」

「そんなの……、『いじめ』しか無いだろ」

『いじめ』。私が一番恐れていた結果だ。

でも、やはりそれしか方法が無い。

「……しちゃう?いじめ」

「でも私、いじめなんてしたこと無いよ?」

「それはオレもだよ」

「それに、もし先公とかにバレたら……」

「アイツがチクると思うか?」

「九十田ッチがチクらないとしても、クラスの誰かが……」

「んなこと、誰もしねーよ」

「でもでもっ――」

「あーもーっ。ユウは一々気にしすぎなんだよ。そんなんじゃ、グループから外せねーぞ?」

「だ、だって……」

そこで、チャイムが鳴った。

「まあ、じっくり考えな」

そして、私達は教室へ戻った。



ずっと考えた。

『いじめ』をするか、否か。

私は、今までずっと『いじめられる側』だったから。

いじめられる辛さは誰よりも知っている。

それでも、私は九十田ッチが嫌いだ。

グループから外したい。

それには、『いじめ』しか無い……。


「決めたか?」

かななんに訊かれる。

「――うん。しよう。いじめ」

もはや私に、良心など残っていなかった。


そのことを、楽音歌と胡桃に伝える。

『いじめ』といっても、あまり目立ったことをするとまずいので、最初は無視程度にする。

これには、二人共賛成してくれた。

芹ちゃんは、もとから九十田ッチと接していないので、言う必要が無かった。

問題は鎮紅だ。

鎮紅は誰にでも優しい子で、九十田ッチとも仲良くしている。

「シズクには、言わねー方がいいんじゃね?」

最も、私も同じ意見だ。

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