番外編~ある日の放課後~
滅多にない奏慧と芹亜のツーショットです(`・ω・´)
「かななん、芹ちゃん、バイバーイっ」
「バイバイ」
癒羽達が教室を出て行き、教室には奏慧と芹亜の二人だけとなった。
「……そういえば、ウチら二人だけで話すって、初めてじゃね?」
「確かに」
まだ慣れていない感じの二人。
奏慧は担任に『残っておけ』と言われたので、担任が来るまで帰れないらしい。
芹亜はいつも通り、他クラスの友達待ちだ。
「一度、セリチャンと話したいと思ってたんだよな」
「ほう。何の話でしょう?」
「セリチャンってー、ぶっちゃけ、ツクダッチのことどう思ってる?」
奏慧の問いに、芹亜は一瞬黙った。
「――変な子」
「変な子?」
「うん。あの髪型嫌い。なんかボサッとしてるでしょ?」
「あー、確かにね」
「それに気持ち悪い」
その言葉に、奏慧は大きく吹いた。
「へーっ!セリチャンってそういう子なんだ!」
「はい、そういう子です」
「ウチもさー、ツクダッチのこと嫌いなんだよ」
「まじで?」
「なんかさー、ホンマ、セリチャンの言う通りキモいじゃん?」
「うんうん。てかさ、最近、癒羽と楽音歌の二人、九十田ッチのこと無視してるっぽくない?」
「そうそう!ウチもそれ思ってた。あと、クルミもだぜ」
「いきなりだよね。何かあったのかな?」
「さあ?」
話題が無くなり、沈黙になる。
「つーか、センコー来ねーじゃん。呼び出しといて何なんだよ」
奏慧がブツブツと文句を言う。
「――じゃあさ。……ユウのことは?」
奏慧が窓の外を見ながら訊く。
「癒羽?」
「うん。どう思う?」
芹亜は少し俯いて黙った。
「――いい子じゃないかな。癒羽、積極的に話しかけてきてくれたし。結構嬉しかったんだ。このグループに入れたのも、癒羽のおかげだし」
「ふーん……」
「あと……、どんくさいところとか、可愛い」
「あ、それウチも同感」
「おお」
二人で笑う。
すっかり打ち解けた感じだ。
「でも、何で?」
「いや……」
奏慧は再び、窓の外に目をやる。
「……オレさ、ユウのこと好きなんだ」
「えっ?」
奏慧の発言に、芹亜が目を見開く。
「そ、それはつまり、レズ……ですか?」
「まあ、そんなとこかな。『好き』って感情、あんまわかんねーけど」
「ほ、ほう……」
「あーわりい。キモいよな。忘れてくれ」
「いやっ、違う違うっ。その、意外だなーって」
芹亜が手を振り、否定する。
「意外?」
「うん。とてもそういう風には見えない」
「ははっ。だろーな」
奏慧が苦笑する。
「多分、初めて会ったときから好きなんだと思う。ユウ、見た目も可愛いし。『仲良くなりたいな』って思ってたら、クルミを通じて仲良くなれたんだよ」
「そうなんだ」
「そんでー、ユウって、すげー優しいんだよ」
「ほうほう」
「こんなオレに、あんなに優しくしてくれるの……、ユウが初めてだったから」
そして、教室のドアが開き、芹亜の友達が入ってきた。
「芹亜ー。遅くなってごめんよー」
「おお。じゃあ、私帰るよ」
芹亜が奏慧に言う。
「おう。聞いてくれてありがとな」
「いやいや」
そう言って、芹亜は教室を出て行った。
教室には奏慧一人。
「フッ……、オレの心みたいだな」
そう呟いて、奏慧は窓の外を眺めた。




