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女子高生達の裏事情  作者: 夢未 照代
第四章~崩れていく絆~
27/61

無視

「みんなおはよー」

朝、九十田ッチが私達に挨拶をしてきた。

「おはよ」「おっはよー、九十田ッチー」

鎮紅達はいつも通り挨拶を返す。

だが、私と楽音歌は違い、それを無視した。

「田川、伊藤、ちゃんと挨拶しなよっ」

鎮紅が私達に指摘する。

「……あー、聞こえなかった」

適当に返事をする。



休み時間。

私は楽音歌と話していた。

「でさー、昨日親がねー」

「うんうん」

「何の話してるのー?」

九十田ッチがそう言って、楽音歌の肩に顎を乗せようとした。

その直前に、私は楽音歌の腕を引っ張る。

「楽音歌、トイレ行こ?」

「あ、うん」

と、嘘を吐いて、隣の空き教室に入った。

「っはあー。ったく、何なの?アイツ」

大きく溜め息をつきながら、私は言った。

「本当、ウザいよね。あ、さっきはありがとう」

「いえいえ。それよりさー、何か策は無いかなー?」

「策?」

楽音歌が首を傾げる。

「九十田ッチが私達から離れるようになる策よ。いつまでも付きまとわれたら嫌でしょ?」

「確かに」

かと言って、そんな簡単に離れる訳無いか。

「ふー……。今は諦めるか」

「うーん……。そうだね」

チャイムが鳴る直前まで、私達は空き教室に居た。



「田川ー、移動教室行くぞー」

「ちょっと待ってー」

教科書とノートを急いで準備し、鎮紅達のところへ行く。

「よし、それゆけシズク隊出発」

鎮紅は九十田ッチと普通に話している。

「……鎮紅さ、九十田ッチのこと、何も思わないのかな?」

ボソッと楽音歌に言う。

「あー。いつも一緒に居るよね」

「何ヒソヒソ話してんの?」

胡桃が話に入ってくる。

「いやさ、最近の九十田ッチ、やたら肩に顎乗せてくるでしょ?迷惑だなーって話」

「そうそう。喋り方もキモいし。何とかするべきだよ」

「ねー」

胡桃が黙って聞いている。

「……そっちらさ、胡桃と考えてること同じなんだな」

「え?」

楽音歌と声が重なる。

「だからー、そっちと胡桃の考えてること、同じだって言ってんの」

「それはつまり――」

聞こうとするが、少し躊躇する。

「胡桃も、クヤのこと嫌い」

「えーーーーーー!?」

私と楽音歌は、同時に絶叫する。

それに胡桃はビックリしていた。

「まさか、私達以外にも同類が居たとは!」

「すげー!」

「そんな驚くことか……?」


その日から、私と楽音歌と胡桃は、九十田ッチのことを無視するようになった。

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