体育大会~昼食タイム~
前回の続きですo
〈今から、昼食タイムをとります。午後の部に出る選手は――〉
「やっとお昼だぁーっ」
急いでお弁当を広げる。
「午後から暇じゃない?」
「確かにー」
体育大会がこんなに地味だとは思わなかったな……。
少し残念。
お弁当を食べ終わり、時間があるので、みんなで駄弁っていた。
「タユ、ヤエと話せよ」
胡桃が小さい声で私に言った。
「うえぇ!?そんな急に、無理だよーっ」
「頑張れよ!」
胡桃は何かあると、すぐに『頑張れよ』と言う。
「あのねー、簡単に言ってくれるけど、そんな簡単に出来るようなことじゃ――」
「よっ」
突然、かななんが声をかけてきた。
「わぁ!?」
「何驚いてんだよ」
「ご、ごめんっ。つい……」
「フッ、変な奴」
胡桃は気を遣ったのか、「とねー」と言いながら楽音歌の方に行った。
今はかななんと二人きり。
「えっと……、それで、何か用があったの?」
「ん?いや、暇だから話しかけただけだよ」
「なるほど。確かに暇だよね」
少し沈黙になる。
「ところでさ、あれから大丈夫か?」
「あれからって?」
「ほら、その……、いじめのこととか」
夏休みに二人で遊んだとき、私が田舎に住んでいたときの知り合いに会い、暴力を振るわれたことがあった。
かななん、心配してくれてたんだ……。
「大丈夫だよ。心強いかななんが傍に居てくれるしね」
「心強くなんかねーだろ。まあ、何かあったらガチで相談しろよ?」
「うん。ありがとう、心配してくれて」
「オレは、しつこいかつ嫌われるほどの心配性だからな」
「それだけ心配してくれたら嬉しいよ」
話題が無くなり、再び沈黙になる。
眠くなり、あくびをする。
「……眠いのか?」
「うん、ちょっとね」
「まあ暇だもんなー」
と、ここで私は、あることを思いつく。
眠いからという理由で、かななんの肩に頭を置いて寝る……なんてこと、出来るわけ無いか。
そんなことをすると、かななんは引きそうだし。
再びあくびをする。
「おいおい、どんだけ眠いんだよ」
かななんが私の顔を見て笑う。
「だってー……」
「ちょっと寝れば?」
「うーん……」
今の流れで『肩貸して』と言え!自分!
「……じゃ、じゃあさ、肩、貸してくれない?」
やった……!思い切って言えた……!
「肩?オレの?」
「うん。あ、嫌なら別にいいからねっ?」
「構わねーよ。オレの肩で良けりゃ」
そう言ってくれたので、かななんの肩に頭を置く。
「痛くねーか?」
「大丈夫。ありがとう」
そして、目を瞑る。
寝たフリにするつもりだったが、本当に寝てしまっていた――。




