グループ名
如月 鎮紅、登場っ☆
それから二日後――。
「今日からこのグループに入らせていただく、如月 鎮紅ですっ。よろしくっ」
と、如月さんがピースをする。
……どういうことだ?
「何でも、前のグループとケンカしたらしいぜ」
かななんが教えてくれた。
「そうなんだ……」
「あ、でさでさっ。このグループに名前つけないっ?」
如月さんの突然の提案に、みんな少し困惑気味だ。
「名前って……何かいい案でもあるの?」
「うーん、今のところ無いっ」
無いのかよ、と、思わずツッコミそうになる。
「てことで、田川、何か考えてよっ」
「えぇっ!?」
いきなりの指名に驚く。
「無理だよー。私、ネーミングセンス無いしー……」
「んもーっ。仕方ないなー。シズクが考えといてあげる」
強引というか何というか、変わった人だ。
一時間目終了後、如月さんがみんなを集めた。
「決まりましたっ。このグループの名前」
「おお、なになに?」
楽音歌が食いつく。
「『それゆけシズク隊』ってのはっ?どう?」
一瞬、沈黙になる。
それって、あの国民的アニメのパクリじゃ……。
「みんな何か反応してよーっ。シズク寂しいー」
「あたしはいいよー」
九十田ッチが真っ先に答える。
「本当?ありがとう、九十田ッチーっ」
如月さんが九十田ッチに抱きつく。
「みんなは?どう?」
如月さんの質問に、みんな「まあ、いいんじゃないかな」と、曖昧な返事をした。
「てかさー、『それゆけシズク隊』って、名前ださくない?」
「うるさいタヌキ」
胡桃の指摘に、即答する如月さん。
「タヌキ!?」
「シズクなっ、ずっと思ってたんだっ。『胡桃って、タヌキみたいだなー』って」
そう言って爆笑する如月さん。
「くるみ、タヌキじゃないもんーー!」
「お前はタヌキじゃ。これからタヌキって呼ぶからな」
如月さんが断定する。
すると、胡桃は黙ったまま教室を飛び出して行った。
「く、胡桃!?」
「あーあ、アイツかなりキレたな」
かななんが呑気に言う。
「あんなことでキレるの?」
如月さんが『ありえない』という顔をした。
「アイツ、精神年齢6歳だからよ。――って、ヤバくね?もう次の授業始まるぜ?」
そう言って、かななんは胡桃を探しに行った。
「全く、面倒臭い子だなー」
如月さんが溜め息をつく。
「まっ、シズクも精神年齢6歳だけどね」
同じ6歳同士……。これは大変なことになりそうだ。




