昼休み
その日からの体育の授業は、体育大会の練習になった。
「はあー。このあと体育だぜ?体育大会の練習とかだりー」
お弁当を食べていると、かななんが愚痴をこぼした。
「――……」
最近の私は、かななんに話しかけるのが難しくなった。
意識しすぎてなのだろうか、『話したい』という気持ちがあっても、恥ずかしくて上手く話せない。
「その点、ユウはいいよなー。練習サボッてばっかで」
かななんが私に嫌味のように言う。
「あ、あはは。じゃあ、かななんもサボッちゃえっ」
「それが出来たら苦労しねーよ」
私の出る種目、学校長杯リレーのメンバーは練習をサボり続けていた。
まあ練習しなくても、リレーなんて走るだけだし。
「あ……、九十田ッチー、この得体の知れない緑の物体食ってー」
「オッケー」
「得体の知れない緑の物体って何よー」
楽音歌が私の発言にツッコむ。
「ほら、この緑の物体。なんか変な臭いするしー。不味そー」
お弁当に嫌いな物が入っていると、毎回九十田ッチに食べてもらっていた。
「あのさ……」
突然、後ろから声がした。
振り向くと、如月さんが立っていた。
「シズクも、一緒に食べていい?」
「もちろんいいよ。みんなもいいよね?」
みんなの承諾を得て、如月さんも一緒に食べることになった。
――いつもは違うメンバーと食べてるのに、どうしたんだろう?
なんて疑問もすぐに消え、お弁当を食べ続けた。