奏慧と二人で②
前回の続きデス(・∀・)
それから二人で商店街を歩いていた。
「ユウさ、それ抱いてて恥ずかしくねーの?」
かななんが、さっきゲーセンで取ったネコのぬいぐるみを指して言った。
「恥ずかしくないよ?」
「ふーん……。オレなら無理だな」
「そうなの?」
ぬいぐるみを抱いたかななんを想像して、思わず笑ってしまう。
「何笑ってんだよ?」
「あはっ。ごめんごめん。ちょっと想像しちゃって」
「何想像したんだ?言え」
「えー、内緒ーっ」
そして私達は、雑貨屋へ入った。
「かななん、何かお揃いの物買わない?」
「ああ、別に構わんけど、トイレ行ってきていいか?」
「うん」
かななんの荷物を持ち、トイレの前に立って待った。
すると、向こうを歩いている人と目が合った。
心臓がドクドクと鳴る。
向こうに居る人達はクスクスと笑い、私を見ている。
――嘘だ、そんな筈がない。あの人達がここに居る訳がない。私は、あの人達から逃げるために、都会に来たんだもん……。
その人達が、こっちに向かって歩いてきた。
逃げれるなら逃げたい。
「やっぱり、アンタ田川 癒羽やろ」
最悪だ。都会に居れば大丈夫、そう思っていたのに――。
「どこに逃げたんかと思うたら、ここに居ったんやなー」
この人達の目が、今になっても怖い。
中学の頃の自分を思い出す。
『言葉の暴力』で、心がボロボロになっていく自分――。
「アンタが転校してから、ウチら超ヒマやったんやで?」
「そうそう。いじめる奴が居らんからなー」
怖くて何も言えない。
「チッ……。何か言えよクズ」
「つーか、何?この髪の色っ」
そう言われると同時に、髪を引っ張られる。
「っ!!」
「アンタさ、調子に乗ってんの?言っとくけど、髪染めても全然怖ないからな?」
「むしろキモいから」
どっと笑う二人。
そして、床に突き飛ばされた。
「こっち戻って来いよ。遊んでやるからさー」
初めて振るわれる暴力に、身体が痛む。
――誰か助けてっ……!
「おい聞いてんのかよ!」
思い切り顔を殴られる。
唇が切れ、血が出た。
「お前の態度むかつく!こっち来い!」
腕を引っ張られ、連れて行かれそうになったとき、トイレから誰かが出てきた。
「――何してんだ?」
かななんだった。
「はあ?アンタ誰よ」
「ユウを離せよ。店員呼ぶぞ」
「……チッ」
再び床に突き飛ばされる。
その人達は走り去って行った。
「ユウっ!大丈夫か!?」
さっきまでクールだったかななんが、珍しく焦りを見せて私に駆け寄った。
「あはは……。大丈夫だよ。全然平気――」
「何があった?アイツら誰だ?知り合いか?」
かななんの質問攻めに、何て言えばいいかわからず黙り込んでしまう。
「つか、血出てんじゃん。これで拭け」
そう言って、ティッシュを渡される。
受け取ろうとすると、目の前が霞んで見えなくなった。
「……ユウ?」
本当は怖かった。すごく……。
涙が床に落ちる。
「かななんっ……、かななん……っ!」
かななんにしがみつき、私は思い切り泣いた――。
③へと続きます(・ω・)