第二章 魔石と魔鉱石
第二章 魔石と魔鉱石
第一節 魔石の定義と分類
魔石とは、魔力を内部に蓄積し、必要に応じて取り出すことのできる石および鉱物類の総称である。
魔石は、その形成過程により天然魔石と人工魔石に大別される。天然魔石のうち、自然界で形成された鉱物に分類されるものを魔鉱石という。
したがって、魔鉱石は魔石の一種であるが、すべての魔石が魔鉱石に該当するわけではない。
人工魔石の製造も技術的には可能である。しかし、天然魔石が広く利用されていることなどから、人工魔石の製造は特殊な用途を除いて一般的ではない。
第二節 魔鉱石の形成
現在、広く採掘・利用されている魔鉱石の多くは、魔力を蓄積する能力を備えた動物の遺骸に由来する。
魔力を体内に蓄積する能力を持つ動物は、魔獣と総称される。この生物学的な分類には、人間も含まれる。
魔獣は全身に魔力を蓄積するための構造を持つが、特に骨および骨髄には、その構造が高密度に分布している。
魔獣の遺骸が地中に埋没し、長期間にわたって高温・高圧の環境に置かれると、その一部は結晶化・鉱物化する。この過程によって形成されたものが魔鉱石である。
魔鉱石の形成には、数万年から数百万年以上という長い時間を必要とする。そのため、魔鉱石は短期間で再生産される資源ではなく、地質学的な時間を経て形成される化石資源の一種と位置づけられる。
魔鉱石には、原料となった魔獣が生前に保有していた魔力の一部または全部が蓄積されている。結晶化の過程で魔力を保持する構造が形成されることにより、魔力の長期保存が可能となる。
なお、植物は通常、魔力を保有しない。植物由来の結晶が形成される例もあるが、その内部には原則として魔力が蓄積されておらず、商業的な採掘対象とはなっていない。
第三節 魔鉱石の品質と分布
魔鉱石の品質は、原料となった魔獣の身体的性質と、結晶化が進行した地質環境によって決定される。
品質を評価する際には、主として次の性質が重視される。
第一に、蓄魔容量である。これは、魔石が内部に保持できる魔力の総量をいう。一般に、魔石の大きさや純度、原料となった生物の蓄魔構造などが容量に影響する。
第二に、魔力の入出力速度である。魔力をどれほど速く充填し、また取り出せるかは、魔石の組成や構造によって異なる。
第三に、用途ごとのエネルギー変換効率である。魔石から取り出した魔力を熱、光、電気などへ変換する場合、その用途に適した魔石と変換装置を選択する必要がある。
魔鉱石は世界各地の地層に分布しており、その形成場所が山岳地帯に限定されるわけではない。ただし、山岳地帯では地殻変動によって古い地層が地表付近に現れる場合があり、採掘の容易さや経済的採算性の面で有利になることがある。
第四節 魔石の充填と利用
魔石に蓄積された魔力は、外部へ取り出して利用することができる。
魔石に新たな魔力を蓄積させる操作を充填という。魔石は原則として再充填可能であり、蓄積された魔力を使い切った後も繰り返し利用できる。
充填は魔法技術の基礎的な応用の一つである。通常の魔法が魔力を別のエネルギーに変換して現象を発生させるのに対し、充填では魔力を他の形態へ変換せず、そのまま魔石へ移動させる。
この操作は比較的容易であり、初等教育段階の児童にも実行可能である。ただし、個人が供給できる魔力量には限界があるため、人力による充填は家庭用品や小型機械に用いる魔石を中心に行われる。
魔石は通常の充填と放出を繰り返しても、ほとんど劣化しない。また、構造が損傷していない限り、蓄積された魔力が自然に流出することもない。
一方、許容量を超える過充填や、過度に急激な魔力放出は魔石を損傷させるおそれがある。加えて、魔石は物質である以上、風化や経年変化による劣化を免れない。




