第10話 貴族、動き出す
貴族たちが人目を忍んで、ミーメの所へ集まるようになる。貴族の一人がミーメに言う。
「私たちの娘はビアンカに取り上げられ、ダミアン王の供物にされてしまいました。」「ダミアン王にみそめられれば王家とつながりができるでしょう。」
「いいえ、ダミアン王はビアンカに篭絡されています。娘たちはダミアン王のおもちゃです。」「痛々しい話ですね。」
「アストラ王国の力をお借りできませんか。」「ダミアン王は悪魔の手に堕ちています。」
「悪魔ですと。」「ビアンカは悪魔です。証拠に聖女ミリアは行方不明です。」
「悪魔を排除しなくては・・・」「アストラ王国が後ろ盾になります。今こそ貴族の力を結集して戦うのです。」
「アストラ王国は軍を出してはくれないのですか。」「まずは自分たちで立ち向かいなさい。リーム王国の問題として処理をするのです。」
「貴族には正規の軍はありません。」「大丈夫です。アストラ王国の軍を国境に待機させますから、いざとなれば力を貸しましょう。」
「それはありがたい。貴公たちもよろしいな。」「悪魔ビアンカを倒すぞ。」「ダミアンを王座から引きずり下ろすぞ。」「おーっ。」
ミーメはアストラ王国に手紙を出す。間もなくリーム王国の貴族が蜂起するから、リーム王国への侵攻の用意をするようにと書かれていた。
貴族たちは自衛の部隊を引き連れて、王都ダルヴィーク近郊の森の中に集まり始める。それに呼応するように国境にアストラ王国の軍が集結する。
バルタザールは王都の周囲に放っていた物見から貴族たちが部隊を連れて待つ待っていると報告を受ける。バルタザールは使い魔のピートに手紙を託す。
さらにバルタザールはエッケハルトに報告する。
「バルタザール、この貴族の蜂起をどう見ます。」「おそらく有力貴族がまとめていると思うのですが。」
「ミーメ第三王女の情報が入らなくなっています。」「ミーメ第三王女が動いているということですか。」
「可能性です。もしそうなら内乱では済まないと思います。」「アストラ王国が攻めていますね。」
「聖女様はどうでしょう。」「先ほど使い魔に手紙を届けさせました。ビアンカの退治に動くと思います。」
「ならば聖女様に賭けましょう。軍は王都防御に専念します。ビアンカを倒せば貴族たちは引かざる負えないでしょう。」「ミリア様とウォールならきっと勝つでしょう。」
エッケハルトは聖女にこの国難を預けることにする。
ミリアはウルズの教えで飛べるようになっていた。キルケも光魔法の無詠唱を会得していた。俺は村人たちと剣の稽古をしていた。俺は一度に5人の村人を相手にしていた。
俺は腕を上げて、村人で相手になる者がいなくなったのだ。ヤガン師匠に相手を頼みに言ったが断られてしまった。
ヤガンは今日ものんびりと過ごしている。数日前、聖女になったミリアと従騎士のウォールが帰って来た。王都で何か起きているのだろうが俺には関係ない。
俺の所にウォールがやって来た。体が大きくなって、動作で剣の腕も上げていることが分かる。ウォールが俺に頼みごとをする。
「師匠、俺に剣の稽古をつけてください。」「だめだ。まだその域に達していない。もっと腕を上げなさい。」
ウォールはすごすごと帰って行く。悪いが、お前のような化け物とやったら命がいくつあっても足らないのだよ。




