第2話 王妃候補ビアンカ
第一軍の隊長は、ビアンカを呼んで話をする。
「あなたを王都ダルヴィークの宮殿に送ります。」「私は罰を受けるのでしょうか。」
「何か心当たりでもありますか。」「いいえ、私は領主の館に住んでいただけです。」
「館では何をされていましたか。」「領主のお話の相手をしていました。」
「そうですか。申し訳ありませんが宮殿までお願いします。」「分かりました。」
隊長は兵にビアンカを丁重に扱うように指示する。軍はディンケルに治安を守るための兵を残して、王都に帰還する。
第一軍の隊長は宰相のエッケハルトに報告する。
「領主は拘束して連行しました。ビアンカ嬢も保護しています。」「ビアンカ嬢はどのような人物でしたか。」
「美人です。あのような美しい人を見たことがありません。少し、会話をしましたが気品があります。」「ダミアン王に合わせても良いようですね。」
「エッケハルト様、自らお会いになった方がよろしいかと思います。」「分かりました。そのようにしましょう。」
エッケハルトは、ビアンカがいる客室へ行く。
「旅の疲れはとれましたか。」「このような素晴らしいお部屋をありがとうございます。疲れも飛んでしまいますわ。」
「これからどうなさりますか。」「仕事を探して、王都で暮らそうと考えています。」
「ダミアン王の許可が出ましたら協力しましょう。」「ありがとうございます。」
エッケハルトは、ダミアン王に合わせても大丈夫だと判断する。ダミアン王は美女「ディンケルのバラ姫」に会いたがっていた。しかし、エッケハルトが少し待つように願い出ていた。
ダミアン王の我慢も限界になり、エッケハルトに言う。
「私はこの国の王だぞ。会いたいと言っているのに合わせないつもりか。」「いえ、只今、こちらに。」
ビアンカが謁見の間に入ってくる。エッケハルトが用意した白いドレスを着て、燃えるような赤い髪が花を添える。ダミアン王は目を見開いて言う。
「美しいな。」「ビアンカと申します。」
「伴侶はいるのか。」「いいえ、いませんし、いたこともありません。」
「ならば、我の妻になれ。」「私のようなものを娶れば、王様の品位が問われるかと思います。」
「我を嫌うのか。」「いえ、そのようなことはありません。」
「決まりだな。そなたは妻になるのだ。エッケハルト、婚礼の準備を進めよ。」「はっ。」
ダミアン王はビアンカに一目ぼれする。ビアンカは王妃候補になる。
ビアンカの部屋は一段と豪華な部屋に変更される。そして、貴族たちが挨拶に来るようになる。宮殿の中では「バラ姫」と呼ばれるようになる。
俺はミリアに質問する。
「聖女様はバラ姫に挨拶しなくて良いのですか。」「バラ姫は美人なんでしょ。」
ミリアが俺の目を覗き込むように近づいて言う。俺は顔が近いのでドキッとして顔が赤くなる。
「ウォールは、バラ姫を見ても心変わりしない?」「俺がバラ姫に惚れるとでもいうのか。」
「心配なのよ。」「俺が好きなのはミリアだよ。」「うん、うれしい。」
俺とミリアは手をつなげるようになったが、そこから先に進んでいない。俺は、すぐに舞い上がってしまって何もできずにいる。俺からキスとかしないといけないのだろうか。
ミリアが決心したように言う。
「会いに行きましょ。ウォール、鼻の下を長くしたら許さないからね。」「分かっているよ。」
この時、俺とミリアはとんでもないトラブルに巻き込まれるとは思ってもいなかった。




