第21話 ラウル商会
翌日から俺たちは街中の装飾品を扱う店を手当たり次第に探し始める。しかし、なかなか見つからない。店長にもバショウ貝の装飾品を扱っている店はないか聞くが情報は無い。
ミーメが俺たちに言う。
「バショウ貝の装飾品は闇で取引されているじゃろう。店を当たっていても見つからないのう。」「ミーメ、俺たちはどうすればよいのだ。」
「このまま、街中を探し回っておればよかろう。」「それでは見つからないだろ。」「続けておればよいのじゃ。」
俺は意味が分からなかった。ミリアも黙り込んでいる。そりゃテンションも下がる。きれいになった幼馴染と知らない街でショッピングという高得点のイベントは苦行に変わる。
それでもあきらめずに続けた。今日で5日目だ。俺たちは人気のない裏通りに入ってしまう。すると怪しい者たちに囲まれてしまう。
全員顔を黒い布で隠している。これでは男か女かもわからない。俺は手際がいいと思う。全員が短剣を手にしているがわざわざ剣を抜くほどの腕はないと判断する。
ミリアも剣を使うつもりはないようだ。ミーメがみんなに言う。
「やっと出てきた手掛かりじゃ。殺すではないぞ。」
マテウスも剣を抜かないようだが、二人の騎士は剣を抜く。俺は手近な相手に近づき、短剣を持つ手を掴むとみぞうちに当て身をする。相手は崩れ落ちる。
次に短剣を振り上げて襲って来る相手を振りげた腕の脇に入り込み、俺の腕を背中に回し相手の姿勢を崩して、腰ではね上げるようにして投げ飛ばす。
三人目は俺に腰が引けているため、突っ込みひざ蹴りを打ち込む。ミリアを見ると同じく三人倒していた。二人倒したマテウスが俺たちに言う。
「お二人は、体術も強いですな。」「ヤガン先生の教えで、基本を学んでいます。」
「そうですか。ヤガン先生は実戦を想定して教えていたようですね。」「ヤガン先生は基本しか教えてくれませんでした。後は実戦で覚えました。」
ヤガン先生は基礎の訓練しかしない。俺が技を教えて欲しいと頼んでもまだ基礎が出来ていないと相手にされなかった。
俺たちにとってヤガン先生は剣豪としてはるかな高みにいた。俺がヤガン先生のことを思い出しているとマテウスが捕えた賊の黒い布をとって行く。
10人全員が男だった。マテウスは剣を突き付けて言う。
「我々がアストラ王国第三王女ミーメ様の一行と知って襲ったのか。」「王女様だって、只の商売の邪魔ものではなかったのか。」
「すべて話せ。王女を襲ったんだ。首を落とされても仕方ないぞ。」「助けてくれるなら、全て話すよ。」
「分かった。嘘はすぐわかるからな。」「すべて話す。王女様とは知らなかったんだ。」
男は話し始める。
「あんたらバショウ貝の装飾品を探していただろ。」「その通りだ。」
「今、バショウ貝の装飾品はラウル商会で独占しているんだ。」「マイラ島へ行っているな。」
「ああ、領主には知られないように隠れて取引をしている。」「ラウル商会を紹介してもらおうか。」
「あんたたちは何をしたいんだ。商売のためではないだろ。」「マイラ島へ行きたいのだ.]
「分かった。ついてきてくれ。」
男たちは俺たちをラウル商会に案内する。俺たちは客間に通される。しばらくすると日焼けした精悍な中年男性が入って来る。
「お初にお目にかかります。ミーメ第三王女、ラウル商会を経営しているラウル・クレイマンです。」「我はそなたにお願いがあってきたのじゃ。」
「お願いですか。」「その前に紹介せねばのう。聖女ミリアとその従騎士ウォールじゃ。」
「というとマイラ島に行ってアークデーモンを倒すおつもりで・・・」「その通りじゃ。理解が良くて助かるぞ。」
「お断りします。」「なんじゃと。」
「私どもは、バショウ貝の裏取引で莫大な利益を得ています。アークデーモンが倒されてはその商売は終わりになります。」「そうだな。代わりのものを用意する必要があるな。」
ミーメは俺とミリアを見る。何か取引条件を出せというのだろう。




