第4話 女神ケレスの神託
宮殿の庭園を聖女ディアナ・ゼーテが散策をしている。彼女の後ろには従騎士で夫のボニファーツ・ゼーテが付き従っている。突然、庭園が光に包まれる。
光の中から金髪の背の高い美しい女性が出てくる。すると聖女ディアナと従騎士ボニファーツは、片膝をついて首を垂れる。
「ディアナ、お久しぶりですね。」「はい、ケレス様、20年ぶりになります。」
「今日はあなたに告げることがあって来ました。」「女神ケレスよ。ご神託謹んでお受けします。」
「あなたは3年後、病に倒れます。次の聖女である。ミハス村のミリア・アースを3年間で立派な聖女にするのです。」「私の娘キルケ・ゼーテを聖女とすべく教育しています。」
「ミリアは非常に優れた資質を持っています。魔法ではあなたでもかなわないでしょう。」「しかし、魔法だけで決めるのは・・・ご再考をお願いします。」
「キルケは素晴らしいですが、ミリアの前では色あせてしまいます。」「キルケが劣っていると・・・」
聖女ディアナは怒りで腕が震える。ボニファーツが肩に手を添えてディアナを落ち着かせる。
「ディアナ、不満があるようですがミリアでないとこの国は滅びますよ。」「何が起きるのですか。」
「これは聖女ミリアと従騎士の仕事です。」「分かりました。ミリア・アースを王都に呼び、聖女として教育します。」「最後の務めです。頑張ってください。」
女神ケレスは姿を消す。ディアナの怒りが爆発する。
「何が聖女ミリアよ。多少、魔法が出来る田舎娘に何ができるのよ。」「落ち着いて、私もキルケが聖女にふさわしいと思うが神託は無視できないよ。」
「もちろん神託通りにするわ。でも、ミリアが逃げ出したらしょうがないでしょ。」「何するつもりだい。」
「きょういくよ。」
神託の件は国王に知らされ、宮廷騎士団では、ミハス村のミリア迎え行く準備が始まる。
ウォールとミリアは12歳になっていた。グレイグリズリーを1人で討伐して大人の仲間入りして一人前と大人たちから認められている。
ミリアは女性なのでグレイグリズリーを討伐する必要はなかったが、ウォールがやるならやると言って一人で討伐してしまったのだ。
二人は親の手伝いで畑仕事をしているが魔法で水をまくことが出来るので水汲みの必要がなく両親をよろこばせていた。
こうして、ウォールとミリアは村で神童と呼ばれていた。剣の腕は村の大人たちと互角に戦えるほどになっている。さらに魔法はウルズが面白がっていろいろ教えるので上級悪魔並みの魔法が使えるようになっている。
欠点は、ミハス村で育ったため、リーム王国の国民としての一般常識がないことだった。
ウォールとミリアは、12年間一緒に育って、二人はこれからも一緒にいられるものだと思っていた。




