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第3話 ロイド、ウォールに会う

 ロイドは、その男の強さが測れなかった。明らかに自分よりはるかに強いことは確かだ。男がウォールに言う。

 「ウォール、お客さんだ。」

すると一段と強い男が振り返る。銀髪の髪で穏やかな顔をしている。ロイドは思い切って話しかける。

 「私たちはウォール・ヤーンに会いに来ました。」「俺がウォール・ヤーンです。冒険者のようですが何か用ですか。」

 「私たちは王都でSランクパーティーを組んでいます。私はロイド、剣士です。」「王都からですか・・・」

 「あなたは賞金首になっています。心当たりはありませんか。」「3年前、宮殿に侵入して、宮廷騎士と戦っています。」

周りの男たちから殺気が立ち昇る。ロイドたちは身の危険を感じる。ウォールが男たちに言う。

 「彼らは俺の客だ。大丈夫だよ。」「ウォール、いいのか。ここで殺してしまえばだれにもわからねえ。」

ロイドたちは窮地に立たされていることを知る。ロザリーはなみだ目になっている。ミハス村の男たちはSランク冒険者を何とも思っていないようだった。

 Sランクは最上級の冒険者に与えられる称号である。他の町や村なら歓迎されるが、ここはまるで違う。

 大体、村人の方がSランク冒険者より強いのである。ウォールがロイドたちに言う。

 「ここは、先日、冒険者が二人、グレイグリズリーに襲われて死んだところだ。危険だから、一緒に村まで来てくれ。」「その前に礼を言いたい。ロザリーを助けてくれてありがとう。」

男たちの表情が和らぐ。そして、ロイドたちはミハス村に到着する。村人たちが集まって来る。彼らは、運んできたグレイグリズリーを解体し始める。

 ロイドがウォールに質問する。

 「彼らは何をしているんだ。」「グレイグリズリーを倒したからお祭り騒ぎをするのさ。二頭いるからたくさん肉が食べれるぞ。」

 「魔物を食べるのか。」「ゴブリンは食べないぞ。」

いや、そういう問題ではないだろう。グレイグリズリーを食べるなんて聞いたことがない。

 「ところで。賞金はいくらなんだ。」「金貨100枚だ。」

 「そうか。やるんだろ。」「ああ。金貨100枚だからな。」

 「その前に王都のことを教えてくれ。」「3年前、アウグスト王が死んで、1年後、ダミアン王が即位した。」

 「聖女様はどうなっている。」「最近、ミリア・アースが聖女になった。国民に人気があるよ。」

 「聖女様の従騎士はどうなった。」「まだ、決まっていないよ。」「そうか。」

ウォールはなぜかホッとする。まだ、ミリアを諦めきれていないのではないかと思う。

 「ありがとう。明日の朝、相手をしよう。」「降参してくれたら、殺さずに済む。どうだ。」

 「Sランクパーティーだからといって、俺に勝てると思っているのか。」「一人一人はかなわなくても、チームならやれると思っている。」

 「今日は祭り騒ぎに付き合ってくれ。」

ウォールが立ち去ると子供たちがロイドたちを連れて行く。ロイドたちは村では珍しい客としてもてなされる。グレイグリズリーの肉は予想外においしかった。

 アマドがロイドに質問する。

 「本当にやるのか。殺されるぞ。」「ウォールの髪は銀色だ魔法は仕えない。カリストに先制攻撃をしてもらって、あとは俺たちの連携で押し切る。」

 「まあ、リーダーは、お前だ。従うよ。」「俺たちが勝てなかったら、誰があの男に勝つんだ。俺たち以外にいないだろ。」

アマドにはロイドの言葉が強がりに聞こえた。

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