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第1話 賞金首

 ダミアン王はウォール・ヤーンについて調べさせる。そのような騎士を知らないので、いったい何者なのか知りたかったのだ。部下から報告が来る。

 「ウォール・ヤーンは、ミハス村の農夫です。昔、宮殿に侵入して騎士の道を閉ざされています。」「聖女はそんな輩を従騎士にするというのか。」

 「恐れながらそのようです。」「排除する必要があるな。」

 「冒険者ギルドに依頼してはどうでしょうか。」「そうだな、騎士を動かす必要もあるまい。金貨20枚で依頼を出せ。」「はっ。」

こうして、国中の冒険者ギルドにウォール・ヤーンの手配書が出回る。冒険者たちは農夫に金貨20枚の大金がかかっているので依頼に飛びつく。

 冒険者もプロである。皆、ミハス村の近隣の町や村に泊まるとウォールについて情報収集に余念がない。

 まず、ミハス村がルビーアイという悪魔が住んでいて、村には誰も近づかないことが分かる。また、この情報だけで多くの初級冒険者は断念をする。

 さらにミハス村の男たちは一人でグレイグリズリー倒す常識外れの村であることが分かる。パーティーメンバーは話し合う。

 「グレイグリズリーを一人で倒せるのか。村人と敵対したら殺されるぞ。」「金貨20枚では安すぎる。やめよう。」

ほとんどの冒険者が諦める。それでも頭のねじが抜け落ちている連中がいる。

 「面白い村じゃないか。」「グレイグリズリーが村人だぜー」

彼らはウォール・ヤーンの名前を出す。すると話し相手は座り込み震えだす。

 「どうしたんだ。」「あんたたち、ウォールに何の用だ。」

 「関係ないだろ。金やるから知っていること話せや。」「あれは殺し屋ウォールと呼ばれているんだ。やばい奴だよ。」

 「殺し屋ウォールか、こりゃいい。人を殺しているから賞金首になったんだな。」

ねじが飛んだ冒険者が二人、ミハス村へ向かう。しかし、二人がミハス村に到着することはなかった。ミハス村は山に囲まれており、近隣の住民は近づかない。

 なぜなら、グレイグリズリーの生息域で入ると戻ってこれないからだ。この山を行き来できるのはミハス村の者だけである。

 ダミアン王は部下から報告を受ける。

 「冒険者たちが失敗しました。」「農夫一人始末できないのか。」

 「ミハス村は特殊なところのようでほとんどの冒険者が諦めました。」「向かった奴もいつのだろう。」「帰って来ません。」

 「依頼をÅクラス以上にして、金貨100枚の報酬にする。」「報酬が多すぎませんか。」

 「構わん依頼して来い。」「はっ。」

国中の冒険者ギルドに新しい手配書が張り出される。

 「金貨100枚だってよ。ウォールて何者だ。」「殺し屋ウォールと呼ばれているらしい。」「一人でグレイグリズリーの群れを全滅させたらしいぞ。」

国中にウォールのうわさが流れる。その頃、ウォールは、ダリアとアミンに挟まれてスローライフをしている。もちろん、自分が賞金首になっていることは知らない。

 ダリアとアミンは、ウォールの両親ゴルとアメリに取り入って、どちらがウォールに選ばれるか競っている。

 ウォールは、村の男の中で一番強いし、作る野菜は村一の上物だった。そのため、ダリアとアミンだけでなく、村中の独身女性から狙われている。

 しかし、ウォールに浮いた話はない。まだ、ミリアを忘れられずにいたのだ。

 王都ダルヴィークのギルドにあるSランクパーティーがウォール討伐の依頼を受ける。剣士ロイド、戦士アマド、魔法使いカリスト、ヒーラーロザリーの四人である。

 ロイドが言う。

 「ウォールはこの国で一番強いようだが、俺たちとどちらが強いだろうな。」「私たちは四人で一つだから負けないわ。」「そうだな。」

彼らは自信に満ちた顔をしている。彼らはミハス村の非常識を知らない。



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