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第17話 ウォール、農夫になる

 試合が終わってから、宮廷騎士たちが私に対してにこやかに挨拶してくれるようになった。宮廷騎士の一人が言う。

 「いつでも、顔を出してよ。歓迎するよ。」「はあ。」

私は宮廷騎士に嫌われてもおかしくないはずだが・・・

 キルケが私に面白そうに言う。

 「ミリア、あなた、宮廷騎士団で人気急上昇中よ。」「なぜ?私は宮廷騎士団に泥を塗ったのよ。」

 「ミリアはダミアン王子を倒して、カール副団長の敵を取ったでしょ。」「それだけで人気が出るとは思えないわ。」

 「それは、ミリアがロり巨乳だったからよ。」「なっ・・・あいつら私を胸を・・・」

 「試合中、丸見えだったわ。」「うぅぅ~」

私の顔が赤くなることが分かる。キルケはニコニコしている。

 「私だって好きで脱いだわけではないのよ。」「分かっているわ。みんな、ダミアン王子が悪いのよね。」

ロり巨乳はないと思う。私だってもう少しすれば、背が伸びてスタイル抜群になるに違いない。


 その頃、ミハス村では、ウォールが両親に説得されて農夫になることを決める。ウォールはミリアに手紙を書く。

 「約束守れなくてごめん。騎士の道を閉ざされてしまった。だから、ミハス村で農夫になってミリアの幸せを祈るよ。」

ミリアはこの手紙を読んで激怒する。そして、返事の手紙を書く。

 「その程度で諦めるの。ヘタレ。ウォールは私の従騎士になることが決まっているのだから、首を洗って待っておきなさい。」

ウォールはミリアの手紙を読んで深いため息をつく。世の中は思うようにならないのだ。


 俺は村に帰ってから、両親にしつこく農夫になることを勧められて、折れる形で農夫になることに決める。

 ミハス村の中では、情報はすぐにみんなの知るところになるので、俺が農夫になることは次の日には村中に知れられていた。

 朝、畑に出ると幼馴染のダリアが話しかけてくる。

 「ミリアはもういいの。」「相手は聖女様だ。農夫の俺とは、もう関係ないよ。」

 「そうなんだ。もう朝食は食べたの。」「いや、まだだ。ひと仕事したら家に戻って食べるよ。」

 「だったら、私の家に来なよ。朝食は私が作っているんだ。味見してほしいな。」「いいのか。」

 「その方がうれしいよ。」「じゃあ、お邪魔するよ。」

 「楽しみに待っているよ。」

俺はダリアに朝食に誘われてしまった。きっと毒見役だろう。だが、気晴らしにはなる。俺は畑仕事をひと段落させるとダリアの家に行く。

 ダリアが笑顔で迎い入れてくれる。ダリアの両親も笑顔だ。笑顔が絶えない家庭なのだろう。

 料理はパンと牛乳は一般的な朝食だが、それに厚焼きのベーコンの上に卵を焼いたものが出てくる。少し豪勢だ。

 「さあ、食べて。」「いつもこんなに豪勢な朝食を食べているの。」

 「今日は特別よ。ウォールが私の家に来てくれたからごちそうにしたの。」「ありがたくいただきます。」

ダリアの母親が俺に聞く。

 「ウォールは好きな女の子とかいるの。」「いたのですが・・・今は・・・」

 「ごめんなさい。ミリアと仲良かったものね。」「ええ、彼女のことは忘れようと思っています。」

ダリアの父親が何か言いたそうだったが言い出せずにいた。俺は食事を食べると礼を言って畑仕事に戻る。

 畑には両親がいた。ゴルが俺に言う。

 「朝食はどうしたんだ。」「ダリアにごちそうになったよ。」

 「そうか、うまかったか。」「ああ、おいしかったよ。」

 「昼食は楽しみにしろよ。」「何かあるの。」

 「それは内緒だ。」

ゴルもアメリも機嫌がいい。昼食に何かいいことがあるのだろう。俺は魔法で畑に水を撒くので作業の効率がいい。もちろん、日照りがあっても水の心配はない。

 昼になり、俺は両親と家に帰る。家から食欲をそそる良い匂いがしてくる。家に誰かいるのだろうか。家に入ると幼馴染のアミンが料理をしている。

 「お帰りなさい。ウォール。」「どうしたの。」

アメリが説明する。

 「朝、アミンが来て、朝食を作りたいと頼んできたんだよ。まるでお嫁さん見たいだろ。」「お母さま、いやですわ。」

アミンは両親に取り入って昼食を作っていたらしい。アメリは気が早い、お嫁さんなんて言ったらアミンが気を悪くするかもしれない。それでもアミンは笑顔だ。心が広い。

 俺たちは昼食を食べる。アミンの作ったシチューはおいしかった。すると、ダリアが家に来る。

 「こんにちわ。お昼を作りすぎてしまって持ってきたの。食べてくれる。」

アミンの顔色が変わる。

 「ダリア、あなた何しているの。」「アミンの方こそ、なんでいるの。」

なんだか険悪な雰囲気になって来た。二人は家の外に出ると言い争いを始める。アメリが俺に言う。

 「ウォールはもてるね。ミリアがいなくなったら、新しい女の子が来るんだから。」「あれ、どうするんだよ。」

 「好きな方の娘と結婚すればいいさ。」「俺はミリアのことを忘れていないんだ。結婚はできない。」

 「がんこだねー」

アメリは呆れる。ゴルは無言で首を振る。




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