初任務3
〜部屋〜
俺は咄嗟に、地面に置きっぱなしにされているアキの金属バットを拾い上げ、父親を殴りつけた。
「・・・!ありがとう!」
アキは気づいていなかったようで、焦った表情で振り向く。
「・・・すごい・・・」
「・・・あなたのお父さん、タフだね。早く警察に渡さないと。」
俺はスマホを取り出す。
「警察呼ぶ?」
「うん、お願い。」
「そういえば、ア・・・」
アキ、と言おうとした瞬間、真顔のアキに口を塞がれる。
「・・・私たちの情報、極秘だから。」
「・・・ごめん。」
「あ、あの、私はどうすれば・・・!」
アキは一瞬で笑顔になり、こう言う。
「お父さんと縁を切って、引っ越しなさい。お金がなくても大丈夫、援助するから。」
そう言って分厚い封筒を手渡す。
その間俺は驚きながらも、住所を言い、上手いこと嘘をついて警察に来てもらう事にした。
「え・・・流石に、こんな・・・悪いですよ!」
「ううん。依頼されたからには最後まで助けるから。警察に見つかったら面倒だから隠しておいてね。」
「は、はい・・・ありがとう、ございます!いつかきっと、お礼します!」
話を聞きながらも、父親を拘束するのも忘れていない。手袋をつけて、ガムテープで拘束をしている。
「じゃ。私たち警察に見つかると面倒だから。警察への説明は、偶然助けてくれた人が拘束してくれたくらいで大丈夫。・・・行くよ。」
「うん。・・・じゃあ、ね。」
俺はアキにしたがい、玄関から出ようとする。
その時。
「あの!ありがとう、ございました!」
少女がにっこりと笑った。
心から安心している、笑顔だった。
〜足立区〜
パトカーが来なさそうな細い道を通って北綾瀬駅へと向かう。
サイドテールを解いて、マスクをつけるアキを見習い、俺もマスクをつける。
そうだ、俺たちの顔はできるだけ見られない方がいいのか。
「アキ、かっこよかったな。」
「えぇ照れる〜。ありがと! そっちこそね!」
「今日は色々あったな・・・疲れた・・・」
「帰ったらゆっくり休んでね。」
〜事務所〜
「・・・って感じで、任務は終わりました。マップで依頼者の家の写真を見て、援助のためのお金を持って行くって、正解でしたね。」
「でしょ〜?俺頭いいからねぇ。」
「自分で言う事じゃないぞ。とりあえず二人は怪我はないか?」
「リツも私も無傷です!リツはもう寝ちゃいましたけど。」
「疲れてるんだろうねぇ。・・・ねぇ、最近ユナと僕が、前の依頼で殺した加害者の遺族に、恨まれて狙われてるんだけど・・・」
「悪いのはそっちなのに、しつこい奴ら!」
「ユナ、一応悪人にも家族はいる。どうするかは、よく考えるんだな。」




