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第四話

「アムティア様のお陰ですわ!あの、あのスムト様が私にイヤリングを作ってくださったのです!もうアムティア様にはどう感謝したらよいか……!」

「アルレッド様も、初めて、周りの皆様に『優しさ』を見せたのですよ!本当に感謝してもしれきれません!」

「それは良かったです、イザベラ様、アリア様」


あれから半年。私はヒロインと同じ方法でこの学園に入った。

最初は平民だと思われて嫌がらせもされたが、攻略対象者たちはそういう理不尽なことを嫌うからね。ヒロインと同じく、私も守られました。

前世がオタクとはいえ、コミュ力は普通にある……はずだと信じている。少なくとも、知り合いも出来た。


ヒロインとも仲良くなれたし、今のところ順調。前世で乙女ゲームをやっているというチートで、各悪役令嬢方と、攻略対象者たちをくっつける作戦も成功したようだ。

ヒロインは王道攻略対象者の俺様担当の第一王子と良い感じになってるから、その他の人たちをくっつけたんだよね~。



スムトは完璧すぎて心を閉ざした公爵子息。スムトルートの悪役令嬢は、イザベラという婚約者だ。THE大人の女性という、素晴らしく頼りになる方。


スムトルートのテーマは『信頼』。

幼い頃から「完璧な貴族となれ」と厳しい教育をされ続けてきたスムトは、完璧な貴族らしく何に対しても警戒心を抱く。それは親が決めた婚約者であるイザベラへも同じだ。イザベラも婚約の相手は自身の親が決めたので、二人の間には義務以上のことは無かった。


しかし、ヒロインが現れてから、スムトは『完璧な貴族』である周りとは違うヒロインへ興味を抱くようになる。

イザベラは特待生として入学してきたとはいえ、平民であるヒロインとスムトが関わるのは『貴族として』駄目だと、嫌がらせをするようになる。自分を差し置いてスムトと仲良くなれるヒロインへの嫉妬心も勿論あるが、それ以上にスムトの評判が悪くなるのを恐れて行動していた。

最終的にヒロインとイザベラが心を通わせることで、ヒロインはスムトルートを攻略出来る。



そしてもう一人の攻略対象者、アルレッド。

彼は明るく笑う狂気の侯爵子息。父親は現王国騎士団長で、代々騎士を出している家系だ(この国の騎士は完全実力主義なので、騎士団長の家系というわけではない)。アリアはアルレッドの婚約者で、アルレッドルートの悪役令嬢だ。儚げな女性で、社交界では妖精姫と呼ばれている。


アルレッドルートのテーマは『共感』。

アルレッドは生まれたときから騎士になる為の訓練に参加していた。基本的な武術は勿論のこと、礼儀作法や主の敵を躊躇わず抹殺できるように『人の死』に慣れさせられる。

私の前世だったら一発アウトなその訓練は、アルレッドの人格を大いに歪ませた。

元々素直だったアルレッドは、周囲から与えられる情報を鵜呑みにし、周囲が求める以上に、人を殺すことに何の躊躇いも無くなった。明るい笑顔で狂気的な発言を繰り返すその姿に、プレイヤーは何度心を痛めたんだろう。


アルレッドの幼馴染であるアリアは、そんなアルレッドを救いたいと心の中で願っていた。自分でも色々な方法を試してみたけど、どれも効果が無く、ゲーム開始時には自分で救うことを諦めていた。

そこにヒロインが登場し、アルレッドと距離が近くなるヒロインに、アリアは希望を見出す。もしかしたら、この方ならばアルレッドを救えるのではないか、と。

でも、アルレッドに良い顔をして近付き、本性を見て腰を抜かす女性は後を絶たなかった。

ヒロインもそうなるのではないかと警戒したアリアは嫌がらせという名の『試練』をヒロインに与える。それに見事合格したら、アリアはヒロインに「アルレッド様を、救ってくださいっ……!」と託すのだ。



しかし、実際のヒロインは第一王子と急接近中だ。乙女ゲームでは、選ばれなかった攻略対象者はそのままの人生を過ごしていく。救われない人生を。


そんなの、私が許すわけがない。皆には幸せにならってもらわないと、自分がこの乙女ゲームの世界に転生した意味が無い!



「アーティ!一緒に帰ろー!」

「あら、ダミアン様に呼ばれていますわよ、アムティア様?」

「そうですね。それでは、また明日!」

ダミアンというのは、私の最推し、チャラ男の攻略対象者のことだ。

ダミアンには、悪役令嬢はいない。周りにいる取り巻きの女の子達数十人が相手だ。なので、ダミアンルートが一番嫌がらせされるし、個人的に内容が一番暗い。だからこそ、私は惹かれたのだけどね。



「で、今日もカップルを煽ったと?」

「人聞きの悪いことを……。少しサポートしただけです」

「女神の力でのサポートは異常なんだよ?」

そう、私は攻略対象者と悪役令嬢との恋を実らせるため、神の力をバンバン使った。具体的には、両方がばったり出会う運を上げたり、ドキッとするイベントをやったり、それぞれの格好良いor可愛いところを見せたり、

イザベラに心の内をスムトにさらけ出せと圧をかけたり、アリアにアルレッドを救う具体的な方法を一緒に考えたり etc……。……あれ?最後のは女神パワーじゃない?


まあとにかく、別に、神が世界に干渉することは大丈夫らしい。

この世界を作った創世神様(私を神にした女神とは違う神)も、自分が使いたい時に神の権限をバンバンつかっているらしいし。


「じゃあ、その力で世界の悪いことを消すことは……」

「前も言いましたよね。そこまでのことをしたら、この世界は価値の無いものになるって」

私も、最初は犯罪などを無くそうとした。せっかく大きな力を手に入れたんだ。少しでも平和になればと願うのは自然なことだと思う。

でも、女神に止められたのだ。神の力だけでそんなことをしたら、この世界は単調な世界になってしまう……と。


実際、他の世界でそういうことをした神がいたらしい。しかし、その結果、神の言いなりになるだけの世界になった。人がロボットになったと思ってくれれば想像しやすいと思う。

神の力は、使いすぎたら美しい世界を崩壊させる。でも、適度に使ったら神の力は祝福となる。そこのバランスが重要なんだよね。



「「「お帰りなさいませ、ダミアン様、アムティア様」」」

「ただいま」

「ただいま帰りました」

学園に入る上で、住む場所をどうするかダミアンに相談したら、

「じゃあ、俺の家来る?」

と提案された。

結果、私はダミアンの家に居候している。

ダミアンが私のことを送るって駄々こねるから、行きも帰りも一緒だ。

正直、私は毎日しんどい。

だってすぐそこに!自分の推しが!笑顔を向けてくれてるんだよ!!

胸がドキドキするし、顔は赤くなっちゃうし、そんな顔面偏差値が異常に高いその顔で眩しい笑みをこちらに向けないで……!私、溶けてしまう!


と、心ではものすごく悶えているけれど、表面上では澄まし顔だ。だって心をさらけ出してしまったら絶対ダミアンは幻滅する。最初に『クールな女神』だと印象付けてしまったから、絶対幻滅する!それはとっても嫌だ!

顔は赤くなるけど、女神パワーですぐに顔色を元に戻している。人間では反応できない速度で元に戻している為、ダミアンにバレることは無い!


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