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S.S アレやこれを作ろう

「どうも、ゴウです!」


 我が家の畑で育ててる大豆も、毎回まあまあな量が収穫出来るようになりました。農家さん達の畑でも、大豆の作付面積はどんどん広がっています。


 さて、大豆が作れるようになったからには。先日のピクニックで残念だった思いを消化させる為に、俺はどうしてもある物を作らなければならない。


 そう……醤油だ!


 醤油の作り方は、大豆を茹でる。小麦を炒めて砕いてかき混ぜて、麹菌を繁殖させ。両方とも塩水に混ぜて桶の中で発酵させる。


 手順は何とか分かるが、一番の問題は麹菌だな。天然麹を見つける事から始めるのかー、面倒だなぁ。


 天然麹って確か米でおびき寄せるんだよね? まだこの世界で米って見てないよ。大豆じゃダメかな? 取り敢えず蒸した大豆と麦で実験してみるか。


 麹菌がいそうな場所。一、水がキレイ。二、果物の木のそば。三、空気がキレイな場所。


 正直、この町で一と三が当てはまらない場所はない。どこの水もキレイだし、化学物質を燃やしたりしないから空気もキレイだ! あっ、革職人が作業する小屋の近くは、皮なめしの薬剤使うからちょっと臭うけど。


 果物の木も、りんごに似た果物があるからその辺かな。蒸した大豆と麦を入れた籠を幾つか用意して、気になる場所に置いておけば、何処かで麹菌が寄ってきてくれるだろう。


 都合の良い異世界の神様。見ているのでしたら、出来れば早めにに麹菌を呼んで下さい。


 パン、パン!


 色んな所に籠を吊り下げて、数日後に様子を見にくれば良いだろう。


 ・

 ・

 ・


「ジャジャーン!」


 見つかりましたよ麹菌、キレイな薄黄緑色のホワホワが大豆にほんわり付いている。麦にもホワホワしています。


 あっ! 簡単に見つかったと思ったでしょ?! 大変だったんだよ。他の場所では緑や黒カビだったり、変な匂いがしたり、何かの動物に食べられていたり。何度も場所を変えて、雨降り後に慌てて置きに行ったりもしましたよ。


 麹菌を見つける迄に、麹小屋も出来上がったし、何なら醤油の他に、味噌を作るための壺も準備できました。


 次は、この麹菌を繁殖する為に麹小屋へ運びます。麦と大豆の菌って混ざって良いの? 別々? 色々悩んでいたのですが、その悩みは直ぐに解決しました。


 だって、大豆の方の麹菌ってすぐダメになっちゃたんだもの……。


 と言う事で気を取り直して、麦麹だけを繁殖させる事にしました!


「ううううう……これで何回目だ?」


 麹菌って、菌と書くからカビと同じく温度と湿度が肝心だと思って色々試しているのだけれど。なかなか上手くいかない……。


 何で!? カビは簡単に生えて来るのに、肝心の麦麹はちっとも増えてくれないよー。


 カビが生えやすいのは、湿度が高いから。まず第一条件がそこだな。湿度を下げるには、換気と除湿! 換気は小屋の屋根裏に小窓を追加したのと、除湿の迄に石灰を床下に撒きました。


 これに蚕小屋で使っていたスターリングエンジンも追加して温度管理もバッチリです!


「やったー!」


 苦節、数ヶ月……やっと麦麹の繁殖に成功しました! 箱型の木桶に入れた蒸した麦に、ビッシリと薄黄色の麦麹が付いています。


 はー、疲れた。こう言う細かい作業が好きな人どっかにいないかなぁ、代わりにやってくんないかな。


 苦労した甲斐があり、麹菌の繁殖も成功したので。次は醤油と味噌作りに入ります。季節もちょうど冬になってきたので腐る心配は無さそうだけど、上手くいくかなぁ……。


 醤油作りの手順は。この麦麹を、炒めて粗く砕いた麦に丁寧に混ぜて、さらに蒸した大豆と混ぜてから麹をさらに全体に繁殖させます。この時にも温度と湿度の管理が大変で、かき混ぜたりしながら様子を見ます。


 最終的には、全体が白っぽくなった後に、黄色っぽい色になってカチコチになったら俺の勝ちです!


 コイツを塩水を入れた桶に入れて、攪拌しながらジックリと熟成させたら醤油の完成だ! 腐らせなければね。


 次は味噌です!


 味噌は、柔らかく蒸した大豆を潰して、そこに塩と麦麹を丁寧に混ぜたものを合わせてさらに混ぜます。水を加えて適度な柔らかさの団子が出来たら、キレイに洗った壺に空気が入らないように詰めていきます。最後は塩を上から振りかけて、さらに空気に触れないように蓋をして重石を乗せて保存。


 醤油は、途中の手間も掛かるので塩水の濃度と量を変えた樽三個分だけ。味噌は一つ一つは少なめで、塩分変えて数は多めに作ってみた。


 ・

 ・

 ・


 冬が終わり、麦の収穫も終わって、そろそろトマトゥルが赤く染まる頃。町の人達には今年も枝豆が大人気です。


 味噌がねー、良い感じになってきたよ。冬まで待つとさらに熟成されるのだろうけれど、ここらでちょっとお味見を。


「で? 今日は何の用だ」


 相変わらず察しの良いジーンさん。


「ちょっと美味しいものを差し入れにきたんだよ」


 持ってきた荷物を上げて見せる。


「美味いもの?」


 ピクリと反応するジーンさん、怪しんではいるけれど。俺が美味しいものと言えば旨いって分かってるもんね。


「台所かりるよー」


 勝手に台所へ行って火を起こす。フライパンにワイルドボアの脂身を入れ脂を溶かす。


 良い感じに油が溶けてきたら、持参した肉を投入。今日の肉は、ワイルドボアの肉を出来立ての味噌に漬け込んだ味噌肉だ! さらにロースとバラを仕込んできた。


「ジュー!!」


 味噌が焦げないように弱めの火でゆっくりと熱を通す。いい匂いが漂ってきて、たまらず奥からジーンがやってきた。


「いい匂いだな」


「もう少しだけ待て」

 

 よし出来た! さあ、ジーン。我の新作メニューの前にひれ伏せよ!


 肉を口に入れた瞬間、固まってしまったジーン。


 ふっふっふっ、どうだジーン。声も出ないだろう、俺も肉を一切れ口に運ぶ……。

 

 直後、俺とジーンが飯屋にラガービールを買いに走ったのは言うまでもなかったな。


S.S 追加致しました。

楽しんで頂けたら、嬉しいです。

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