第五十八話、澄み渡る青空
俺は今、町を見下ろせる丘の上に立っている。
アレから五年が経ち。完全にノーフォーク農法が広がったこの町では、クローバーやポタタの花がキレイに枠分けされた畑のあちこちで咲いている。ポタタはもっと北の地方まで広がり、作物が育ち難かった土地でも認知されてきた。
テツとアベルはこの町を出た。今頃は何処かの街で冒険者として活躍している事だろう。
王城では、銀枠に縁取られた壁盾が柳の葉のように薄く、透明で近衛騎士の姿も透けて見えると異彩を放っているらしい。
王女に送られたシルクは。茜染めのスカーレットカラーの絹布と、特別な織りをした純白の絹布。この絹布で仕立てたドレスは社交会で話題となり、生産地は知られていないがリッチシルクと言う名で広まっていると言う。
この町の名は。ゴウタウンになった。
町を襲った賊の手下どもは捕えられ。隣領の男爵から依頼を受けたと話した事で、それを知った伯爵の逆鱗に触れ男爵は御家断絶、領地の名も消されバザール男爵が受け継いだ。
元のバザール領は、セール町長が叙爵して男爵になりバザール・セール領に。そしてこの町を俺が引き継いだ。
俺にも叙爵の話もあったが興味ないので断った。
空を見上げる。
「気持ちのいい青空だ……」
ふと思い付き。スッ、と右腕を天に向ける。
「我が生涯に一片の悔い無し!」
一度言ってみたかったんだよね。
けれど、まだ死なないよ。
俺はもっともっと、異世界転生したこの世界で普通に生きるんだから!
おしまい。
完結致しました。
完結出来ました! 読んで頂いた皆さま本当にありがとうございます。
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初めての小説で初投稿作品、正直ここまで読んで頂けるとは思っていませんでしたので驚きと感謝で一杯です。
本編はこれで完結致しますが、私の代表作としてこれからも修正や見直しを図り、時にはS.Sも追加できたらと思ってます。
新作も考えてますので、また挑戦したいと思っております。
またいつか、皆さまに読んで頂ける日を楽しみに。
皆さま「異世界転生したおっさんが普通に生きる」読んで頂き本当にありがとうございました。
2025/03 ーカジキカジキー