第五話
次に手をつけるのは。
引きそうなぐらいグイグイくる町長を一旦落ち着かせ、新たに手を付けるネタを考える。
水車は今でもある……が、使われ方は小麦の粉挽が主で、水揚げや工業的な利用はされていない。その部分での改良案か?
トイレ事情の改善も可能ならば進めたい。
畑の土壌改善。
町の特産を作り王都に売って町に金を落とせるようにする。
自前で鉄の精錬、そのためには鉄鉱石が取れる場所を見つけるのが先か……。
馬車や荷車の改良。
どんどん忘れていた記憶が蘇る、いや不要と思い引っ込めていた現代チートの情報を思い出していた。
全部をやるには人手も資金も足りない。まずは金が掛からず効果がわかりやすい事を優先して取り掛かり、効果がでて金になるとわかれば、多少金が掛かる事でもやりたがるはず。
そうやって町が潤ってくると、近隣の町や村から人が集まりさらにこの町が発展して、より難しい事を始められるようになる……はず?
「どうした? ゴウ」
気がつくと二人が自分の顔を不安そうに覗き込んでいた。
「あ、ああそうだな何から話していこうか」
「そんなにネタがあるのか?!」
カッと目を見開いてグイグイくる町長がウザい。