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第四十話、三人の客


 ここはバザール男爵家の応接室、領都からやってきた三人は早速バザール男爵と面会していた。


 伯爵から預かった手紙も渡し、内容も読んで貰ったところで……


 「と、言う事で我々三人がセールの町でのシルク生産の監視と、報告の為の管理官として派遣される事になった。バザール男爵にはセールの町で我々三人が住める住居を探して欲しい」


 「それは勿論で御座いますが、皆様が満足される様な建物はあの町では難しいかと……」


 「それは理解している、この三人が住んでいても目立たないような家であればいい、領都のような住まいは求めていない」


 それでも……と渋い顔をする男爵

 

「それから、セールの町の町長と、ゴウ? と言ったか、その人物との顔合わせを目立たないように行いたいのだが、何処か都合の良い場所はないだろうか?」


「それではセールの町の町長の家で、三人が新しく移住する者として顔合わせに町長に会うのは普通ですし、そこにたまたまゴウが居合わせている。ゴウも数年前に移住した口ですので、移住する町の事を聞いたとすれば違和感も少ないと思います」


「なるほど、ではその手筈でゆこう、先ずは町長に会う日時を決めてから……」


 それから細々とした事を打ち合わせした後、三人は男爵の家で一先ず落ち着く事になったのだった。


 ……

 

 その夜の晩餐で。


 三人は男爵のもてなしで食事を楽しんだが、ザックがある事について気になって聞いてみた。


「そういえば以前、セールの町で食べたパンが美味かったのだが、あれはバザール男爵の所でも食べられるのか?」


「パン? ああ! そう言えば昨年あたりにセールの町で旨いパンが食べられると評判になり、最近ではこの町でもあのパンを出すパン屋や食事場が増えていると聞いていますな」


 どうやら自分達が食べた時から広まってはいるが、セールの町から始まったパンらしい、アレの事といいパンといい、田舎町から広がるには些か気になる所だ。


 ……

 

 数日後、町長の家に男爵と三人の男女、なぜかその場にゴウが揃っていた。


「この町に新しく住まわれる方達だ、ゴウも比較的最近住み始めたからその辺のこと話して貰うには丁度良いと思ってな」


 町長がなんだかワザとらしい態度で三人を紹介する。黒髪の男性と茶髪の男性はオレを見た時、一瞬驚いた後納得したような顔をしていた。女性は不思議そうな顔をしながら挨拶。もう一人はこの領の男爵でした。


「先ほど話した様に、我々が住む住まいを探して頂く事。そして我々の事は出来るだけ詮索されない立場を考えて欲しいと言う所だが、可能だろうか?」


 つまりアレの事はまだ内緒と言う訳ですね。


「住む所は少し待って貰うとして、立場としては冒険者が無難ではないですか? 都会から出てきた何処ぞのボンボンが力試しに魔物退治にやってきたって程で」


「こらゴウ」


「ゴホン!」


 すみません……

 

「先日、伯爵に献上して貰ったアレに関してだが、まずコレを褒美として預かってきた」


 ドスっと重そうな皮袋がテーブルに置かれた。

それが……三袋


「伯爵……その奥様が大変喜ばれてな、かなり奮発されたそうだ。」


「それから、アレの生産物は全て伯爵家で買い取る、他所へ売る事は許されない、その分買い取り金額は高くするとの事だ。さらにこの町の税金が向こう十年免除される……」

 

「じゅ!……」

 驚いた男爵と町長の声が漏れる


「アレの生産に必要な金や資材もあるだろう、迂闊に伯爵家から金をだせば、何処からか嗅ぎつける者もいるかも知れないからな」


「税金が免除になるのはこの町だけだ、他の町は今まで通り納めてもらう、その為の税務官もこの町に特別に入ってもらう、彼女だ」


 座ったまま目礼で挨拶する女性、それだけなのに何故かカッコいい。

 

「今までのように各町を回る税務官ですと、この町だけ税がない事でよからぬ事を考えてしまうかも知れません。私が管理し一旦は税として納めた形を取るが、金や資材で返す方法を取りたいと思っている」


「あの」

 

 恐る恐る手を挙げる


「……」


 何だという感じで頷かれた、喋って良いんだよね。


「あなた方がよからぬ事を行わないと言う保証は……」


 言い切る前に、黒髪の男と女性から恐ろしい覇気が飛んできた、おお怖い……


「まあまあ」


 おや?


 ゆるい茶髪の男性が二人を納めて、立ち上がる

 

「それも含めて信頼される様に振る舞うのみだが、今はコレに賭けてその様な事は起こさないと約束させて貰うよ」


 と、腰に付けた剣の柄頭をクッと前に見せた。


 あ、あー……


 よく分かんないけど、かなりお上の方なのねー

 



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