第四話
出てきた町長に案内され。
部屋に入ると町長はすぐにテーブルのある席に座った。ジーンも慣れた様子で座ると、呆けている俺に向かっていつまで立ってるんだと言う顔をして早く座れと手招きする。
大工のジーンは町長と話す機会も多く、この流れも分かっているようで、あまり馴染みのない俺はちょっと戸惑ってしまっていた。
「ゴウから話さないと、何もわからんぞ」
ジーンからそう急かされて、席に座った俺はゴホンッと咳払いをすると頭の中の計画を話し始めた。
簡単な話から、出来たら良いと思う難しい話まで。その中でまず初めに手をつける事になったのは井戸の改良だった。
町のためでもあるが。横で話を聞いていた町長の奥さんが、最初に手をつけるなら井戸、と強く推したのだ。
「まっ、まあ井戸は力の弱い子どもや女の人達が主に使いますからね、町長の奥さんの様に……『に?』いや、いや何でもございません」
やべー、ワイルドベアー並みの殺気を感じた! 女の人に老いや年の話題は禁句だったな。
井戸は現代知識からすればポンプ式だろうが、残念ながらこの町の鍛冶屋の技術で製作はまだ難しいと考え、二重滑車から始める事にした。
何度か試作とテストを繰り返し、いよいよ町の人たちへのお披露目だ。数日前から井戸で色々と作業を行なっていたので町の人達の間でも噂が広がり、かなりの人数が集まっていた。
「思ったより人が集まったな」
町長も話す前から人が集まった事に驚いた様子だ。
集まった人の間からは、何が始まるのか、水汲みがどうのと声が聞こえてくる。
「町長、もういいんじゃないか」
大工のジーンが町長を押し出して説明を始めさせた。
話を聞いた町民達の反応は凄かった。特に子どもや年寄りからは、以前より軽い力で水汲みが出来ると好評で、すぐにでも他の井戸にも取り付けて欲しいと声が上がった。
井戸の改良は大成功で町民達からも持ち上げられて町長もホクホク顔だ。
「さてゴウよ、次は何をする!」
興奮した町長の圧がすごい。
ジーンさんが大工と鍛冶屋でふらふらしていたので大工にしました。