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第三十九話、それぞれの春


 春、商人がやってきた。


 地主のアルさんとコールさんもそうだが、あの時の宿屋の奥さんの圧が凄かったから、商人さんも頑張って大豆を集めて来たようで皆さん笑顔で良かった良かった。


「ゴウさん、言われてたの手に入れてきたけど、こんなので良かったかな?」


 商人に声を掛けられて、手に入れたというブツを見に行く。


「コレとコレだけど、名前はトマトゥルとポタタって言ったかな。どっちも食べ方で毒になるって聞いたから、言われてた作物と合ってると思うけど」


「おーよく見つけてきたね、無理じゃないかと半分期待しないで待ってたけど予想以上だよ!」


「はっはっは、商人を舐めないで下さいよ。言われた物はたとえ海の向こうだとしても行って探して来ますよ」


「それは頼もしいね、また何かあったらお願いするよ」


「是非に! それとコレがどう料理されるのかも興味あるので作られるようになったら教えて下さいね」


 のちにこの商人は語った、何故私はこの時に「海の向こうまで」などと言ってしまったのだろうか。あの男は本当に海の向こうに行かせたぞ! なんて奴なんだ!


「いや、行くっていったじゃん」


 ……

 

 オレが頼んでいたブツもどうにか手に入ったので、金を払い無事に受け取る事が出来た。どっちも今から植えておけば芽が出るかな。


 帰り道、猫車に購入した荷物を乗せて歩く。ちょっと寄り道して麦を植えた畑が見える方へ、そこには青々とした麦がキレイに並んで育っていた。


 キレイに並んでいるのは事前にクローバーを植え、肥料を入れて耕し手押し式播種機を使って種を植えた畑、それ以外はばら撒きなのでパッと見多く育っている様に見えるが、実際には細くてヒョロっとしており明らかに畑の地力の差が出ている。


 このまま育って茎が立ち、小穂が出て花が咲き、実が付いたらどれだけの麦になるのか。


 とても楽しみだ。


 ……



「では、この三名をバザール男爵領セールの町へ赴任。シルク生産拠点とするための監視、報告管理官として任命する」


 

 男爵領へ続く街道を一頭の馬と二頭立ての馬車が進む、馬にロイが乗っており、馬車にはザックとアリーだ、馬車の中には三人の荷物と生活に必要な品々が積んである。流石に領都から田舎に出て行くのに現地調達では合わないだろうからだ。


 領都から離れ、自然の景色を眺めていたアリーが飽きてきたのか、隣で手綱を取るザックに話しかける。

 

 「住む場所とかどうするの?」


 「とりあえずバザール男爵領に行って男爵に都合の良い場所を探してもらうさ、暫くは男爵領からセールの町へ行ったり来たりの生活かな」


 「何もない町だ、アリーは暫く暇するんじゃないか?」


 「私はパンが楽しみだわ」


皆さま「異世界転生したおっさんが普通に生きる」を読んで頂きありがとうございます。

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行ったら、専業ではやってくれないことに愕然としたりしてww
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