第三十五話、魔石
「ハッ!農業だと?バザールの奴めあんな小さな畑しかない所で何を始めようと言うのだ、まあいい大した事では無かったようだな、ワシの心配損か。ご苦労だった、また春にでも何かしでかしてないか調べてこい」
カチャリ、と小さな小袋が机に置かれる。
「へへっ、どうも。あと冬の薪は例年の量を手配しておきましたので、春までは十分足りるかと」
「フンッ」
……
こんにちは、ゴウです!
セールの町にも冬が来ます。この辺は暖かい地域に当たるけど寒い日はやっぱり寒いです。
そして、セールの町の町長さんの名前はやっぱりセールさんでした。機織りが得意な奥さんの名前はリッチさんです。
前置きが長くなりましたが、今日は冬の仕事を行いたいと思います。
「さて、こんなもんか?」
集めていた石灰、落ち葉を焼いた灰、川砂の中でもキラキラした透明な感じの砂
この日のために水車小屋で特別な窯と吹子を作り準備しておいた。そう!ガラスを作るのです!
だってウイスキーやブランデーが出来るようになったのに、飲むためのグラスが木のカップか焼き物しか無いんだよ!ガラスのグラスで飲みたいじゃん!
その為の準備をコツコツと続けてきたので、今日はその集大成です!上手く行ったらご喝采!!
透明な川砂、多分珪砂ね。それと石灰と焼いた灰、分量は適当で80:10:10から始めようか
ゼイ……ゼイ……ゼイ……「熱い……」
分かってはいたけれど、熱いです。
「み、水……」
手に取ったカップの中身が空だったので、水を沸かしておいた鍋まで行くと……
「あちゃ、こっちも空か」
気がつくと全て飲み干していた。
仕方ない……
もう一度水を汲んできて沸かしても良いが、とにかく喉が渇いたので魔石を使うことにした。
ホーンラビットの魔石、手に持って「水」と言うと鍋一杯分程度の水が出る。あまり使いたくはないが仕方ない今は直ぐにも水が飲みたいのだ、出来たらキンキンに冷えた冷たい水が飲みたいなあ「水」
「冷た!!い?????」
魔石から出た水が手にかかったと思ったら冷たくてビックリした!!今まで魔石使ったこと何度もあったけどこんな事初めてだよ!?
鍋に溜まった水をカップで掬って飲んでみる……
「冷たい……メッチャ冷たくて美味しい……」
何で?今までこんな事なかったよ?
今までと違う事と言えば……
冷たい水が飲みたいと考えてたから?
しばらく考えて、別の容器を用意し魔石を手に持つ……
「水」
ダバダバダバーー
「冷たくない……いつもの感じの魔石から出た水だ」
もう一度
「水」
ダバダバダバーー
「冷たい!やっぱりそうだ頭の中でも冷たい水って考えたら冷たい水が出るんだ。え?え?何で?何で誰も教えてくれなかったの?こんなの当たり前だから誰も言ってなかったの?」
「ええーー!?」
ガラス作りもそっちのけで、魔石の不思議に驚かされたのでした。
ちなみに、その後の実験で熱いお湯も出せました。
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