第二十九話、お疲れさま
「いやーお疲れさま〜」
さすがジーン、ほんとスゴイ!農家さん達の顔見た?
皆んな喜んでたよねー
「バルトさんも、ギルさんもお疲れさまでした」
畑での作業は地主と農家の皆さんに全てお任せになったので、久しぶりに三人で集まってます。
何だよー、変な顔して見ないでよ。また何を言い出すかと勘繰っているのかな?
そんな事はないですよ、ここまで来たら我々は一旦いつもの仕事に戻って好きな事をやってて下さい。
収穫時期になったら、センバコキや唐箕が活躍するんでそれまでは暇でしょ?
え、違うの?今から作っておかないと間に合わない?そりゃあ大変だ、頑張ってね。
まあまあまあまあ、怒んないでよ。今日はホントにお世話になった三人にお詫びしたくて集まって貰ったんだから。
でね、せっかく来て貰ったんでこんな物を用意しましたー。
えー、何で三人とも嫌な顔すんのよ。
え?絶対また何かある?
ないないないない、ホント
ただ美味しいお酒を飲んで貰いたいだけだって、三人ともお酒好きでしょ?
ねねね!
ジャジャーン!!
珍しいでしょ、色のついていないお酒。これね元はエール、エールの酒精をちょっと強くしたお酒、あとこっちがワインの酒精を強くしたお酒。
えー何で皆んな頭抱えてんの?
酒精を強くした酒って何だって?
まあまあ、とりあえず飲んでみてよ。話はそれからね、バルトさんは酒精強いの好きそうだからエールのほうね。ジーンとギルさんにはワインの方を飲んでみてよ。
「「「……」」」
どうよ!
……
犂と手押し式播種機のお披露目が終わり、ゴウがどうしてもと言うから集まってはみたが、コイツ何する気だ?
バカヤロウ!センバコキだけでも大変だってのに唐箕ってまだ設計図にもなってないだろうが!収穫まで間に合うとか無理だろうよ!
何だよそれ、てか飲み屋に飲み物持ってくるなよ。
酒精を強くするって何だよ、どっから持ってくるんだよそんな物
「くっそ、美味いじゃねーか」
「「「何だよあれ……」」」
ゴウに呼ばれて酒を飲みに集まったら、また変な物飲まされた。
あれだけの酒精の強さで旨い酒なんて今まで飲んだ事なかったぞ、それでいて出来立てだからまだ本来の美味さではないと言う。
樽に入れて最低三年、長ければ二十五年寝かせる物らしい……
作り方はゴウが知っている、材料はエールやワインと同じと言えば手に入らなくもない。問題はそれを作る道具と時間だ、ゴウは何でも無い様な感じで言ってくるが正直今でも手一杯な状態なんだ、地主連中に言われて作っている農具はまだまだ足りん、それこそ町中の大工や鍛冶屋に仕事を回しているが全くだ。
「硬い板もあるしな……」
「「!!」」
ともかく、ワシら三人では手に負えない仕事を山ほど抱えていると言うのに、さらに持って来ようとするアイツは何なんだ?
前に町長に聞いたが「ゴウは……ゴウだ」としか言わなかった。
町長は金になるなら何でも良いからな。
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