第二十四話、草
「町長〜」
「おうゴウか、何だその草は?」
「草じゃないよ、これから広める新しい穀物だ」
「なにっ!?」
おうっ、また圧が……
「どれどれ、どうやって食べるんだ」
早速興味深そうに枝豆を見ている。
「まあまあ、それを見せたくてね、ちょっと付き合ってよ」
町長に大豆の事を説明しながら次の目的地まで歩いて行く。さらに途中で地主のアルさんとコールさんも合流
「おはよー奥さん、今日は無理なお願い聞いてくれてありがとうね」
「おはようゴウさん、いいよ忙しくなる前だし、新しいメニューになるって話しなら大歓迎さ」
ここは、町にある宿屋件酒屋で大抵の町の人が飲みに利用している場所だ。
「これなんだけど、塩味を付けたお湯で湯掻いてくれる?」
「このままかい?」
「そう、切り取っても良いんだけれど、今回は枝についたこのままで」
「時間は適当に、さやの中の豆が柔らかくなったら大丈夫だから」
暫くして、我々の目の前には枝付きの状態で湯掻かれた枝豆が置かれていた。町長も地主の二人も怪しそうに手を出さずに見ている。
「ゴウ」
町長から声を掛けられて、オレが食べ方を見せる。
「これはな、こうやってさやを一つ取ったら」
ハムッ
直接咥えて、軽く歯で噛むと中の実が飛び出してくる「ぷりっ」ウンウンこの感じが良いんだよな。指で豆を押し出し口に飛び出させるのも良いのだけれど、直接だとより塩味を感じられて好きだ。
他の三人も同じように真似をして口に運ぶ
「「「!!!」」」
そのまま無言で手を出す三人
「奥さ〜ん、エール四つ!」
「「「!!!!!!!!!」」」
「はいよ!」ドンッ!
「これこれ!」
枝豆食べて、エールを飲んで、枝豆食べて、エールを飲んで……
途中、奥さんにも試して貰い五人であっという間に三本の枝豆が無くなりました。
試食会が終わり、まず一番圧が強かったのが宿屋の奥さんだった。
さあ枝豆持ってこい、いつから待って来れると凄い剣幕で言い寄られ。家の裏庭で育てている分だけでは後ニ、三年は無理だと言う事になり、家で育った残りの大豆は全てアルさんとコールさんの畑で来年育てて貰う。 さらに次に商人が来たら大豆をあるだけ持って来させる事で来年中には店で出せる用にすると言う事で落ち着いて貰った。
宿屋を出て、地主の二人にも大豆が出来たら持って行くと話して別れた帰り道
「凄かったですね」
「……」
あれ?
「ゴウよ、お前……」
何だ?
「ああ、いや聞くまい」
「……」
「この町に金を運び、新しい穀物や仕事を産んでくれるお前さんに何の疑問も持つものか、お前さんが誰だろうと何処から来たんだろうが関係ない。お前さんはこの町のゴウだ、わしはそれしか知らん」
なーんかカッコつけちゃったよ町長
だけど助かる、ありがとう町長
そう言えば、町長の名前知らないな?
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