第二十二話、二つ名
どうも地獄のゴウです!
いつの間にか二つ名が出来てました。
何でも3人組のおっさんが「ゴウには近寄るな」「あいつに構うと地獄を見るぞ」「笑顔のあいつに騙されるな」等と酒飲んで騒いでいたらしい。
誰だよまったく。
……
今日は狩に来ている。
何だか三ヶ月くらい狩に出ていない気がするんだが、そんな事はないよな?気のせいだよな。
今日もテツとアベルが一緒だ、アレから暫くは一緒に狩に出る事を禁止されていたのだが、テツが「冒険者になるとこれくらいの危険はあって当然、独り立ちする為には父さんがいる間に色々経験したい」と母さんに直談判して勝ち取った。
あの怒った母さんに言い負けないなんて、テツよ成長したな……
「テツにい、ウサギだ」
アベルが茂みの先を示すと、テツが構える。
そっとアベルが動き出し、ウサギを追い出してテツのいる方向へと誘い出す。
「うりょ!」
テツも槍を上手く使い、ウサギを仕留めた。
よしよし、二人とも連携も上手くなって獲物を狩れるようになっているな。
アレから二人には革の防具を作り、武器も選んで渡してある。冒険者となる為にも防具や武器に慣らしておくためと、先日のような事が起こった時に身を守れるようにする為だ。
武器を選んでいる時の二人のキラキラした目が眩しかったぜ!
ちなみにゴウスカウター(想像)によると、テツは(槍術、身体強化、持久力、健康、努力)、アベルは(気配察知、気配削減、忍足、剣術、身体強化、健康、天才)ってとこか。
無事に狩を終えたオレたちはギルドに寄った後、教会へと向かい今日の獲物を使って焼肉を振る舞った。
「テツ兄ちゃんスゲー!」
ウサギを仕留めたテツは孤児院の子供たちからキラキラした目で見られて、恥ずかしそうにしているが顔はニヤけている。
「アベルだって凄いんだぞ、ウサギに気付かれずに近寄れるんだから、オレには無理だ。」
「アベルもスゲー!」
二人とも大人気だ。
……
「テツさん久しぶりね、元気そうで良かった」
後ろから声を掛けられて懐かしい声に振り返るテツ
「シスター、お久しぶりです」
シスターは元気そうなテツの顔をみて微笑み
「今日はあなたの元気そうな姿が見られて良かったわ、ゴウさんとは仲良くやれているようね」
「とうさ……ゴウさんは、とても良くしてくれています。リリも凄く懐いているし、オレが冒険者になると言っても応援してくれて、ほらこの防具や武器もゴウさんが準備してくれたんだよ」
シスターは笑顔で頷きながらテツの話を嬉しそうに聞いていた。
「貴方がここにいた頃は、もう少しアレだったわよねえ、シスター達を困らせてばかりで」
「昔の話はやめてくれよ」
「「「ふふふふふふふ」」」
シスターとテツが昔話で仲良くしている姿を、オレと他のシスター達がニヨニヨしながら眺めていた。
アベルとテツも成長しているようですね、それを身内から褒められると年頃の男の子としてはとても恥ずかしいですよね。
次回は、新しい作物に挑戦です!




