6話 鉱山村での調査と出会い
馬車に乗った四人は、鉱山のある麓の村までお話をしていた。馬車に揺られながら、メリラは「どうして、ハンターになろうと思ったの?」とクリットに質問を投げかけた。クリットは「楽しそうだったから!」というのもそうだけど、何よりも「感謝して貰えて繋がりを感じれるのが嬉しかったからにゃ」と答えた。メリラは「それはどんな感覚なの?」とクリットに詰め寄った。いきなり詰めてきてびっくりしたクリットだが、「うーん………」少し間をおいてから「胸のあたりがポカポカする感じかな?」と自分なりの言葉で伝えた。メリラは「なんかそれって良いね」とふわふわした感想を言った。有馬とニーナは「とてもいい話やね」とクリットに告げた。クリットは恥ずかしくなったのか、体育座りをしながら体を丸めていた。と話していたら、麓の村まで着いたようだ。
そこは岩壁近くに村がくっ付いているという位に大きな鉱山が姿を現した。僕ら四人は圧倒されて「おー」と声が漏れだした。この村は鉱石産業が盛んで質のいい武器や装備が手に入るのだそう。そして、鍛冶師の方も多く住んでいて、加工業も盛り上がっているそうだ。有馬たちは村の散策をすることにした。有馬とメリラの装備をこの村で整えるためである。村市場には、ずらりと甲冑や武器が並んでいる。市場のものは目についたが、有馬は細道の先を進んだ小さな武器店に興味を持っていた。そこに吸い込まれるようにドアを開くと沢山の武器と装備が揃っていた。後をついてきた三人もお店に入ると、店の奥から「いらっしゃいませー」と元気よく声を上げるドワーフ種のおっちゃんが顔を出した。少しイカツイ成りをしていたので四人は委縮したが、おっちゃんは「好きなだけ見て行っておくれ」と歓迎してくれた。お店を見渡すと軽い鎖カタビラから重そうな甲冑までと品ぞろえが良い。有馬は機動性が良いものは無いかと店主のおっちゃんに聞くと、それならと店の奥から布製のコートらしき物を持ってきた。これは、ストーンウールから取れた毛と銅タートルから取れた皮を使ったコートだそう。有馬はとても気に入ったので値段を聞いてみたら、30Gと聞いたので、思わず「えっ」と声を上げた。現在持っているお金は10Gでした。有馬は色々試行錯誤して考えて、そういえばゴブリンの素材を大量に持っていたことを思い出した。有馬はありったけの素材を店主に見せて交渉した。少し悩んでいたがギリギリ10Gと素材で何とかなった。有馬はゴブリンオーガ戦で貰った石があることを思い出した。店主のおっちゃんに石をみせると、これは海猛石ではないか!とおっちゃんは興奮していた。海猛石で武器を作らせてくれ!と店主が頼んできた。有馬は熱意におされて作成してもらうことにした。しかしまだ素材が足りないみたいで何か他にも取って来て欲しいのだそう。有馬は了承したが武器を持っていないと話したら、おっちゃんは剣を一本タダで貸してくれた。メリラにも何かいい装備はないか?と聞くとおっちゃんは奥から革素材の身軽なオーバーオールにウール素材のストレッチシャツのセットを持ってきた。メリラは気に入ったのか即決で購入した。買った装備を早速着てみた。有馬とメリラの装備はとても似合っていた。僕らはウキウキでお店を飛び出した後、新調した装備を着た二人はすぐにでも依頼クエストに行きたいオーラを放ってきたが、クリットとニーナがそれを制して宿屋を探すことになった。どんよりムードの有馬とメリラが宿屋を探す二人の後をつけていた。しばらく経つと、どんよりコンビから「ダンジョン…ダンジョン…」と繰り返し語り始めたので、クリットとニーナは急ぎ早に宿探しに奔走した。すると宿屋の前で狐族の子供が大柄な男たちに囲まれていた。次の瞬間、有馬とメリラは溜まっていたうっぷんを男たちを一蹴して蹴散らしていた。狐族の子供が「はわわ」と慌てふためいていると宿屋から「何事かい?」とガタイのゴツイ女性が出てきた。周りをみて狐族の子供に話しを聞いているようだ。スッキリして落ち着いた二人とクリットとニーナが狐族の子供に近づいて行くと「大柄な男たちに囲まれて怖くて戸惑っていたらこの人たちが男たちをふっとばしたの」と有馬とメリラを指さした。話の話題に上がった有馬とメリラは何をされるのかと目線を右往左往させながら佇んでいた。するとガタイのゴツイ女性が近寄ってきて両手を頭の上に振り下ろしてきた。「終わった…すりつぶされる」とガクガクした二人は悟ったが、それは二人の勘違いで、大きな手で頭を撫でられた。「うちの従業員を助けてくれたのね」とガタイのゴツイ女性は言った。ガタイのゴツイ女性は「コマキ!この方たちを部屋に案内しな!」と狐族の子供に指示をした。狐族の子供のコマキは「ハイ!マライアさん」と返事をした。有馬達有馬たち四人はマライアさんになぜ宿を探していることが分かったのか聞くとクリットとニーナがギルドカードを手に持っているから、そうではないかと思ったらしい。「よく視ている人だな」と有馬は感じた。
有馬達はコマキの案内に従って宿屋の中に入っていくと外から見ても広かったけれど中に入ってみると、やはり広かった。僕らはフロント階段を上がり二回へ上がり、コマキは一室へと案内した。そこは四人で使うのには広く木造の家具と寝具、装飾品が綺麗に飾られていた。コマキは「昼食のご用意をさせていただくので一階の食堂に顔をお出しくださいませ!」と丁寧にご説明とお辞儀をしたのち部屋を抜けていった。メリラとニーナとクリットは三者三様な興味をしめしていた。僕らはとりあえず荷解きをして一階の食堂に向かうことにした。食堂のドアを開くとビュッフェ形式でたくさんの料理が並んでいた。他にもお客さんがいるようで丸テーブルの上に料理をおいて談笑している。僕らは大きなパーティーテーブルのある場所を選んで、料理がテーブルを埋めるほど持ち込んでお腹がはちきれる程に詰め込んだ、メリラは力士のようにほっぺが膨れていた。ニーナはほっぺをむにむにと触りまくっている。こちらの有馬とクリットも食事を進めながら、依頼内容のストーンリザードについて話していた。ストーンリザードは皮膚と鱗がとても硬くて剣などの鋭利な武器だとダメージを出すのは難しいそうだ。なので打撃系や状態異常系を狙ったり、ひっくり返してお腹部分を狙うなどが有効だとクリットは話した。有馬は「フムフム」と頷いてから、表情がだんだんと青ざめて「おれ、役立たずじゃね…」とつぶやいてネガティブになって口を閉じることを忘れて「ぼーっと」しているとメリラがおっきな饅頭を有馬の口に詰め込んだ。すると有馬は慌てながら口に詰められた饅頭を水で流し込んだ。「なにすんじゃ」有馬はカンカンに怒るとメリラは「口開いてるから食べたいのかと……」とモジモジしながら、ついでのように「ごめん」と付け加えた。有馬のほうも「気を遣わせたようですまん」と謝った。「その横からニーナが割り込んで剣は通らないと思い込むのは良くないよ!工夫すれば何か対策が思い浮かぶよ!」と前向きなエールに似た意見を言いのけた。有馬はニーナのおかげで元気を取り戻したのか「挑戦し続けるしかないよな!」と自分にも言い聞かせるかのようにつぶやいた。その後も食事を楽しんで机の料理たちがなくなるころにはメリラのお腹が三倍に膨れ上がったが、消化スピードが異常でコマキがお食事の感想を聞きに訪ねてきて「とてもおいしいです!」と有馬が良い、「お口に合って良かったです。」とコマキが照れて話し終えた会話の数秒の間にはメリラのお腹は平常通りに戻っていた。有馬はメリラのほうを見て「どんなマジック使ったねん」とツッコんだがメリラは「深呼吸して消化した」と普通の事のように言った。一連にやり取りを見ていたニーナとクリットとコマキちゃんまでも「なんじゃそりゃ」と笑っていた。楽しい昼食会議を終えたのちに僕らは鉱山へと向かうことにした。宿屋を後にしようとフロント前で女性陣三人を待っているとコマキが近づいてきて、「わたし、ハンターさんの狩りの様子みたい」とおねだりしてきた。有馬は子供によわい……でも危険な場所に連れ出すわけにもいかなくて困っていると、マライアさんがコマキちゃんがついて行きたい理由を話してくれた。コマキの父親は鉱山で働いていて家に帰ってくることが少ないから会いに行きたいのだそうだ。マライアはコマキは柔な育て方はしていない。と言ったが、有馬は少し考えてからコマキに「危ないと感じたら一人で逃げるんだよ!」と念を押して伝えた。コマキは「うん!お兄ちゃんわかったよ」と元気よく答えた。コマキはすぐに出かける準備に取り掛かった。しばらくコマキとフロントで話しながら待っていると女性陣三人が駆け寄ってきた。「なに?コマキちゃんも一緒にいくの?」とメリラが聞くと、コマキは「いくの~!」と右拳を天に突き上げた。そのしぐさが可愛いあまりにメリラは抱き着いていた。ニーナとクリットは「お姉ちゃんたちがいるから大丈夫!」とグットポーズをした。コマキは「とびっきりの笑顔で、うん!」と短く言った。マライアは「コマキを頼むね!気を付けるんだよ」と言葉を残した。
宿屋を出た、僕らはコマキを連れて依頼先の鉱山に足を進めるのだった。
お読みいただきありがとうございました。今回は村でのほのぼの回をお届けしました。
次回はコマキを連れて鉱山でのクエスト回です。 次回の冒険もお楽しみに!




