3話 初めての激闘
僕らが扉を開いた途端、目の前の光景に驚いた。
天井は丸く周りは何も置いてはいないが、壁は岩肌が剥き出ており、しかし中心部は森の果物が散乱していた。
親玉のゴブリンオーガは大きめの椅子に腰かけていた。体調は4m程でとても大きい図体をしていて、右には棍棒を左には胴体を隠せるほどの大きな盾を持っている。その巨漢にその場にいた誰もがたじろいだ。
そしてゴブリンオーガは大きな声を上げながら突進してきた。
僕らはまず、目くらましの光鉱石をゴブリンオーガの前に投げ込んで横に飛びのいた。すると、ゴブリンオーガは所構わずに棍棒を振り回した。これでは、近づけないと感じた有馬は次にゴブリンオーガを挑発して背後をニーナ達に攻撃して貰おうと考えた。有馬は「ばぁかばぁか!臭そう!」などと幼稚な挑発をしてみせた。みていた3人からは冷たい視線を感じたが、ゴブリンオーガには刺さったみたいで血眼になって追ってきた。ゴブリンオーガは阿保だったみたいで、フィールドの外周を回っても何も考えずに後ろを追いかけてきた。ニーナ達はゴブリンオーガにタイミングを合わせて技を繰り出した。
ニーナ「ウィンドカッター」
メリラ「ガイアハンマー」
マキバ「リーフスラッシュ」
「ドォォオン!」技は鈍い音を醸しながら当たったが、ゴブリンオーガには皮膚が硬くてダメージが少ないようだった。背中から攻撃を食らって腹が立ったのか、狙いをニーナ達にゴブリンオーガは変えた。
僕らは一点集中攻撃にしよう!ということにした。しかし、チャンスを作るのが難しいのが難点である。「そこは任せて!」とマキバは言った。メリラも足止めを手伝うと言い二人に任せることにした。
有馬は、またしても幼稚な挑発をゴブリンオーガに向かって投げかけた。
するとヘイトを有馬に変えて襲い掛かってきた。有馬はフィールドの中心にゴブリンオーガを誘った。そこで、メリラはゴブリンオーガの足元を崩し、マキバはツタのようなものを生やしてゴブリンオーガの機動力を削いだ。
有馬は肩に掛けていた剣を抜き、スキル「エンチャント」で剣に付与効果をつけた。ニーナ、メリラ、マキバは有馬の剣に風、土、自然の魔力を流し込んだ。
有馬の持っていた剣は水色、茶色、黄緑色の三色を放っていた。しかし膨大な魔力に剣をゴブリンオーガのほうにむけるのが精いっぱいだった。そこでニーナが「ウィンドチャージ」を掛けて物凄い突風で有馬をゴブリンオーガのほうに飛ばした。飛ばされた有馬の顔はとてもブサイクな顔になったものの、ゴブリンオーガのお腹に到達するのであった。あまりの威力にゴブリンオーガも雄叫びを上げながら耐えていたが、フィールドの壁にぶつかり力尽きるのであった。ゴブリンオーガは消失してアイテムを落としていた。
すべての力を使い果たした有馬は壁にもたれながら「もう動けぬ…」と、か細い声を発して目の前が真っ暗になっていた。そして長いダンジョンを攻略して洞穴を抜けて喜びをわかちあうのであった。このとき、有馬はメリラ引きずられていたらしい……有馬は目が覚めたら、ツタのベッドの上で横になっていた。外は騒がしい…宴会の声が聞こえてくる…有馬はおもむろにインベントリを開く。すると謎の海の海底のような色のした鉱石が入っていた。それとゴブリン達を倒したアイテムの棍棒やらが入っていた。起き上がって部屋の外を見ると煌びやかな葉のランプがそこら中に置いてあってとても明るい空間になっていた。有馬は「すごいっ」と口から零れ落ちた。すると横から「きれいだろ!」とマキバが語り掛けてきた。それから「ありがとな」と柔らかさと不安定さを備えた声色で言った。マキバの笑顔に涙が混ざっていて、こちらも感情が流れて同じ表情を有馬は見せて…「どういたしまして」と返した。
遠くからメリラが有馬の名前を出しながら駆け寄ってきた。「ねぇねぇ!此処の果物美味すぎます!」と心配より自分の感情が先行しているのに有馬はおかしくなって「ふふふっ」と思わず笑っていた。メリラに「何よ!」と言われたが、有馬は「一言目が果物ってのが面白くって」と笑って返した。すると、メリラは思い返したように「体はだいじょうぶなの?」と聞いた。有馬は「絶好調さ!」とおどけてみせた。その後、三人で広場のほうに向かうとニーナの周りにドリアード達が集まっていた。気になった有馬たちは近づいて話に耳を傾けることにした。 ニーナは今までの旅の話をしているみたいだった。川で巨大な魚と戦ったり、大きな熊とも戦ったようだ。しかし、徐々に仲間は狩りで亡くなられたり、それぞれの事情で脱退した仲間もいて、いつの間にか1人でこなせそうなクエストをしていたそうだ。ニーナはめげずに目標に進めるスゴイ人だと有馬は思った。
そして、ニーナはこちらに気づいて「目を覚ましたんだね」とこちらに話しかけた。有馬は「おかげさまで!でも…なぜか節々が痛むんだよなぁー」と腰を叩きながら言った。それを聞いた3人は「クスクス」と笑っていた。有馬は、なぜ笑っているのかわからないままだったが「まぁいいや」と流していた。
次の日の朝、有馬達はドリアード達に別れを告げた後、メリラの家に帰るのであった。その道中でメリラは、お兄さんのお話を始めた。兄のバンジさんは困っている人を見過ごせない心優しい方だったらしい。兄さんが居なくなった3日前、突然魔王軍の幹部ヴァンパイアロードの男が村を壊滅しに来たそうだ。その時に1人ヴァンパイアロードに立ち向かい戦ったのがバンジさんだった。バンジさんはボロボロになっても立ち向かい続けた。
その結果、魔王軍を撤退させたのだ。村の人は彼のことを讃えていたが、彼は左手と右足を無くしていた。それから彼は部屋に閉じこもって気づいた日の朝にはバンジさんの姿はなかった。メリラは涙を浮かべながら、「私も戦っていたら…」とうずくまった。有馬は「彼はメリラを村のみんなを守ったんだ」と力強く訴えるのであった。ニーナも「カッコいいお兄さんだったんだね」と励ました。メリラはしばらく泣いていた。家に着いた頃には夕方になっていた。
ただいまと元気を取り戻したメリラはジゲンさんのいる家のドアを開いた。
「おかえり」とジゲンさんは笑顔で出迎えてくれた。気づいた頃には有馬は、クロすけの歓迎の餌食に遭っていた。ニーナは「クロすけは本当に有馬を気に入っているのね!」と笑いながら言った。クロすけは尻尾を鞭のようにしならせながら舐めまわしていた。
しばらくして皆でソファーにくつろぎながら、リーフフォレストでの出来事をジゲンに話した。ジゲンはしみじみと話を聞いていた。メリラは「私も色んな場所を見て回ってみたいの!」と話を切り出した。
ジゲンは少し考えて「ダメじゃ!」と言い、「メリラに兄のように居なくなってほしくない!」と本心をぶつけた。それを聞いたメリラは「自分の意志で世界を見てみたいと思ったの!」と言った。それから、「私はおじいちゃんのこと忘れないし、また必ず家に帰ってくる!」と言いきった。
その言葉を聞いたジゲンは「わかったわい、世界を見てきなさい」と承諾したのだった。
次の日、僕らは村の方に見送られ、メリラは「みんなぁ!行ってきまーす!」と元気よく手を振った。まずはハンターの登録をするためにギルド酒場のある町「ドライデン」に向かうことにした一行であった。
お読みいただきありがとうございました! マキバ君とはいったんお別れです。
バトルパートを書いてみた感想は、自身も書き進めているうちに高ぶる感覚があり楽しかったです。
今後は「スキル」にも注目していくと面白いかもです。次回もお楽しみに!




