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水と鼓動(8)

 フロアに入ると陽向、霞は横になっている。女はまだ入ってきてはいなかった。


(とにかく二人の姿を隠さないと。何か覆うものがあれば。そうだ、倉庫の部屋に養生用のビニールがあった。不自然だが姿は隠すことが出来る。隠すところを見つからなければ、見過ごすはずだ)


 フロアから顔を出すと女の姿は見あたらなかった。サッと身体を出してドアを閉める。出てくるところを見つからなかったことに安堵しながらも、倉庫に向かい歩み出した瞬間、向かいの部屋から女が出てきた。


「わあっ!」


 実菜穂が叫び声をあげた。女が実菜穂に気づくとすぐさま追いかけてきた。逃げるしかない。もつれそうになる足を何とか動かして、走り出す。


(だめだ。いま、陽向のいる部屋に入られたら終わりだ。こっちに引きつけておかないと。でも、このまま倉庫に逃げたら捕まっちゃう。どこかで一度やり過ごさないと) 


 実菜穂は階段の一点を見つめ走っていく。ふらつきそうになるが、真っ直ぐに進む勢いが強いため軌道が逸れることなく階段に突進していった。さらにそこで止まることはなく一気に下りていく。踊り場をクルリと回り、残りの階段を下りた。最後の数段で足がもつれ転がり落ちたが、すぐに立ち上がると走りだした。後ろなど振り向く余裕などない。廊下を駆け抜けると、突きあたりの壁の穴が目についた。


「あれは私が開けた穴だ」


 ドアを開けそのままフロアに飛び込んでいった。放浪神がいたフロアだ。龍の放浪神がいたところは、物陰となっており身が隠せる場所だった。実菜穂はそこに隠れた。龍神がいた場所は、微かに神の気が残っており、実菜穂は気をたぐり寄せて辺りに張り巡らせた。無意識ではあるが、龍神の気で祓いをしたのだ。


(うん?放浪神となった龍の神。龍神様は天上神だよね。力の強い神様が御霊を失ったのか。それでも、どうして力を残すことができたのだろう。天上神・・・・・・天神様)


 実菜穂は「とおりゃんせ」を口ずさんだ。


【とおりゃんせ、とおりゃんせ・・・・・・天神様の細道じゃ・・・・・・この子の七つのお祝いに、御札をおさめに参ります・・・・・・】


(天神様、七つのお祝い、御札!もしかしたら、どこかに御札があるのかも。それも天神様の。放浪神が力を持っていたのが御札のおかげだとしたら・・・・・・どこにある?)


 遅れて女がフロアに入ってきた。実菜穂がいる反対側でうろついている。気づかれないように静かにその場を離れると、実菜穂はフロアを後にした。すぐさま階段を駆け上がり、倉庫で養生用のビニールを持ち出すと陽向と霞を覆って隠した。


「これで見つかることは無いはずだ。早く青の神様を探さないと。だけど、あの女性がいたら探せない。いったいどうして襲われるの。訳が分からないけど逃げてるばかりではいけない。弓を使うしかないのかな。待て、そのまえに」


 みなほはノートを取り出して眺めた。


(とおりゃんせの歌詞。【ごようのないものとおしゃせぬ このこのななつのおいわいに おふだをおさめにまいります】

 これは確かお母さんと子供の歌だ。

【ひとはみなかみのこかみのこ】

 七つまでは神の子。それは、神に護られていること?何から?この続きは確か男子トイレ)


 実菜穂はフロアを後にして再び男性用お手洗いへと駆け込んだ。

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