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水と鼓動(3)

 ドアに向かい走り出した実菜穂は右に傾きながらバランスを崩し、ドアのノブを掴む前にすっ転んだ。痛みを感じている暇さえ惜しみ、すぐに立ち上がると廊下へ出て青の神の姿を探した。


(どこにいるのかな。とりあえず、向かいの部屋だ)


 部屋に飛び込むと部屋の中は長机やホワイトボードが並べられていた。どうやら会議室として使われる予定の部屋のようだ。


 机に手をつき、ふらつく身体を支えて辺りを見渡して青の神を探した。


「どこだあ。どこにいる・・・・・・」


 机から次の机に手をつき移動しながら、探していく。机の下側も丁寧に探したが見つからない。


「簡単に見つかるとは考えてないけど、もしこの下の階に隠れたのなら手間が掛かるな」


 「かくれんぼ」とはいえ、この場でのルールをよく理解しないまま始めたことを、いまさら不安に思った。

 悩む間も惜しいとばかりに実菜穂が部屋を出ようと振り返ろうとしたとき、ホワイトボードに文字があることに気がついた。


(あれ?入ったとき、書かれていたかな。いや、書いていたら真っ先に読むはずだ)


 ホワイトボードに近づき書かれている文字を読み始めた。


【とおりゃんせ とおりゃんせ 


ここはどこの細道じゃ


 天神様の細道じゃ 


ちっととおして くだしゃんせ

 

 

ご安心を私は下の部屋には隠れていません】


(「とおりゃんせ」の歌詞だ。なんだろう?意味があるのかな。それよりも、青の神様はこの階から出てはいない。的は絞れたかな)


「わっ!」


 実菜穂が部屋を出ようと振り向くと、そこには机が両側に並べられていた。しかも、ドアに近づくほど幅が狭くなっている。まさに細道を作って実菜穂を招いてた。


(えっ、いつ並べたの。私がメッセージを読んでいるとき?だったら、いままで後ろにいたってこと・・・・・・全然、気がつかなかった。視界に入らないと気配さえ感じないの?音が聞こえないってそういうこと)


 思わず声を上げるほど驚いてしまったが、ここで立ち止まっている訳にはいかなかった。


(この部屋にはいない。次だ)


 実菜穂は机で創られた細道を通り部屋を出ると通路を見渡した。


(この階に青の神様はいる。見つけられるはずだ。どこに隠れているの。私をどこかで見ているの?)


 実菜穂は次の部屋のドアを開けた。

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