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神と巫女(7)

 陽向と霞が実菜穂の側に駆け寄っていく。


「実菜穂、何があったの?そこにいるのは、神様ね」


 陽向の声に周りの放浪神は影を潜め、隅に消えていった。陽向と霞が巫女であることが分かり、姿を隠したのだ。


『みな、恐れぬでよい。ここにおる巫女は、儂の友じゃ。力になってくれよう』


 実菜穂の言葉に白い影は遠巻きながら姿を現した。


「実菜穂さん?陽向さん、実菜穂さんの様子がおかしいです」


 困った顔をする霞に陽向が実菜穂の状況を説明した。


「あっ、そーなんだ。わたしもシーナの言葉を伝えたことあります。けど、実菜穂さんがあまりにも自然な姿なので違う人かと思っちゃった」


(あれが言葉を伝えている本当の姿なんだ。わたしが初めてシーナの言葉を伝えたときは読んでいるだけだったなあ)


 霞はあたりを見渡して状況を観察している。穴があいた壁に注目した。大きな穴は外までしっかりと見えるほど開いていた。


「陽向さん、実菜穂さんはここで放浪神と戦っていたのでしょうか」

「違うと思う。戦っていたらほかの神様は実菜穂から逃げているはず。フロアに来た時には、その神様も実菜穂の側に集まっていた」


(なるほど。あっ、実菜穂さんの側に弓がある。もしかしたらこの弓を使ったのかな。それにこの男の人、じゃなくて神様は怪我をしていたのかな。何かは分からないけど、実菜穂さんが神様を助けた。神様に一番近い人、それに陽向さんともガッツリ戦うなんて、実菜穂さんただものじゃない)


 霞があれこれ想像しながら、実菜穂と男のやりとりを見守っていた。 


『龍の神がなぜ御霊を失ったのじゃ。お主ほどの神がうっかり御霊を失うとは思えぬ。お主、どこに祀られておるのじゃ』


 実菜穂がみなもの言葉を伝えている。実菜穂の頭の中でもその疑問が浮かんでいるところであった。陽向と霞も答えに耳を傾けている。


「すまぬがそれは言えぬ。どうか許されよ。ここにおる柱もみな同じだ」


 霞はあてが外れたことで軽くため息をついた。だが、実菜穂と陽向の表情には深刻な色が表れていた。



(陽向、よいか。ここからは私の言葉を伝えよ)


 火の神の声に陽向は頷いた。


(かーっすーみー。わたしの言葉伝えてね)

「うん、分かった。実菜穂さんのように上手くできないかもしれないけど」


 霞だけが独り言のように返事をした。ここから先は、巫女として三人は言葉を伝えることとなった。


『なら、なぜここにおるかも答えられぬじゃろう』

「そうだ」

『では、龍の神、なぜお主だけが僅かとはいえ力があるのか。理由も明かせぬじゃろう』


 実菜穂の言葉に龍の神は頷いた。だが、みなもにはあらかたの状況はつかめたように実菜穂は感じていた。霞はといえばずっと右に左にと首を傾げている。なんとも可愛く滑稽でな姿だった。実菜穂は、顔には出さないが心の中は笑みで溢れていた。


『龍の神。我が名は、日御乃光乃神ひみのひかりのかみ。一つ聞きたい。ナナガシラ、知っているか』


 陽向の声に龍の神は一瞬、鋭く強い瞳を向け、言葉を喉元に押し込めた。実菜穂の瞳が水色の光で龍の神を見つめていた。

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