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神と巫女(3)

 霞が陽向の胸から顔を上げた。涙でグッショリと濡れた顔を陽向が優しく拭いていく。


「霞ちゃんそう言えば、邪鬼たちは『ナナガシラから来た』って言ってたけど、心当たりある?」

「いえ、全然。そんな場所聞いたことないです」


 霞は首をフリフリしながら陽向を見た。陽向にも思い当たる地名がなく、ひとまず後回しにすることにした。


「実菜穂さん、放浪神がいるフロアですよね。私も一度シーナと見たことがあります。白い影の存在でした。悲しげな姿で、苦しそうで。シーナは天津が原に帰したけど、あれで救われたのか分からないです」

「そうだね。放浪神は何らかの理由で御霊をなくした神様。それゆえ力をなくした神様。何者かに砕かれたか、何者かに盗られたのか。やるせないな」

「実菜穂さんは、その放浪神を相手にしているんですよね。あっ、みなもは、力が残っている神がいるって言ってましたよ。大丈夫なのでしょうか」

「神様が相手なら実菜穂は大丈夫だよ。一番頼りになるから」


 陽向は慌てた様子もなく笑っていた。霞はといえば陽向の笑みに複雑な表情をしている。


「心配ないって。実菜穂は、神様に一番近い人なんだから。あーっ、疑ってるなあ。でも本当なんだよ」

「えーっ。実菜穂さんてそんなに凄い人なんですか。陽向さんは、神職だから一番強いのかなって思っていますが。違うのですか」


 クスクス笑う陽向に霞が迫っていく。


「うーん、強いとかどうかは分からないんだけど。だって、霞ちゃんも凄く強いよ。そう、優しくて強い。あんなに追いつめられていたのに私の急所を狙わなかったでしょ。実菜穂ならもっとガッツリ来てたと思うよ。さあて、ノンビリもできないから、上に行こうか」


 陽向が紅雷を持ちフロアを後にした。


(陽向さん、私のこと全部見抜いていたんだ。やっぱり凄い。えーっ、でも、実菜穂さんなら陽向さんをガッツリ攻めるなんて・・・・・・あ~、どんな風に戦うのだろう。これからはマジで二人を怒らせないようにしなくちゃ)


 陽向の背中を見つめながら、霞は陽向と実菜穂とは絶対に戦うまいと心に誓いつつ後についていった。



 

 実菜穂の周りには放浪神が数多く集まっていた。どの神の顔も実菜穂の光を浴び、安らいだ表情をしていた。力を失い、忘れられ、消え去る定めでありながらも懸命にこの世界に留まろうとする神たち。その神に敬意と感謝を込めた実菜穂の光がフロアの隅々まで潤していた。

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