いままでとこれから(10)
実菜穂たちは、ホテルの展望浴場にいた。琴美の事件で、ユウナミの社に向かう前日に泊まったホテルである。ここの展望温泉が気に入ってしまった実菜穂は、今回も予約を入れたのだ。
ラーメン店では、真一の講談を皮切りに皆で盛り上がった。良樹にいたっては、真一の語りに感銘を受けて、真似をして自分も講談を披露するのだけど、語っているうちに話に感動して泣いてしまう場面があった。それでさらに盛り上がり、笑顔溢れる時間は瞬く間に過ぎた。
最後はお決まりのように一人一人が、真一が構えるカメラのモデルになった。特に静南は、この町の氏神であるユウナミの神の社に勤める巫女であることから、何回もシャッターが切られていた。
真一の店を出た実菜穂たちは、ホテルへと直行した。静南は、務めがあるということで社に戻った。とはいえ、明日にはユウナミの社にお参り行くことになっているので会う約束している。
「ハハハーッ、絶景かな、絶景かな」
実菜穂が腕を組んで、湯舟で仁王立ちになっている。瑞々《みずみず》しい背中では、浸かっていた湯が弾かれ、雫となり腰へと流れた。
実菜穂の腰は滑らかな流線を描き、くびれを作っている。その後ろには、霞と琴美がいた。腰からお尻にかけてメリハリのある実菜穂の身体は、同じ女の子である霞が見ても、うっとりとなるほど魅力があった。
入浴施設の展望から見えるのは日が落ちた海である。黒く静かな世界であるが、灯台や、ゆったりと動く船、遠くに見える島の明かりがロマンチックな景色を演出していた。
「実菜穂、前にも言ったけど、こっちから見えるのなら外からも見えるんじゃない?」
隣で湯に浸かっている陽向が、実菜穂を見上げた。
「ノンノン、陽向。ちゃーんと調べたよ。ここね、マジックミラーみたいになっていて、お風呂側からは景色が見えるけど、外側からはこっちが見えないんだよ。だから陽向も、ほら、ユウナミの神様が護る海を全身で感じないと」
実菜穂が振り向き、湯に身を沈めている陽向を誘った。
「確かに、そうかも」
陽向がゆっくりと立ち上がり、実菜穂の横に並んだ。隠すものを纏っていない豊麗な胸は、張りがあり、肩からなだらかな曲線を描いている。その身体は女神を思わせるほど整っていて、後ろで見ている琴美が思わず溜息をついた。
「ほらー、詩織さんも、見て見て。島の明かりが綺麗だよ」
実菜穂が詩織も誘った。詩織は一瞬ためらうが、実菜穂と陽向の美しい裸体を前に、自分も身を乗り出した。
立ちあがった詩織の身体は、実菜穂、陽向と比べて細かった。痩せているわけではない。無駄な肉がないという表現が正しい。胸も実菜穂と同じくらいはある。引き締まった背中からお尻にかけてのラインは、スレンダーな体型と言えた。三者三様の裸体は、それぞれに少女の魅力を表していた。
霞と琴美は三人の美しい巫女の姿に見とれていたが、ふと我に返り自分の幼さが残る身体を見て、湯の中に深く身を沈めた。
「あれ、陽向。前に来た時より、胸おっきくなってない」
「なってません! 前って、ひと月も経ってないでしょ。下着のサイズも変わってないです。実菜穂、どんな眼をしてるのよ」
陽向が腕で胸を隠すとザブンと湯の中に身体を落とした。実菜穂が笑いながら、湯に浸かった。詩織も合わせて静かに身を沈めた。
実菜穂と陽向の他愛もないやり取りに、霞と琴美が声を上げて笑った。




