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巫女と物の怪(2)

 みなもの瞳は五階に集中した。全てを見通したみなもは、フーッと息をついた。シーナは「さすが」という笑みを浮かべてみなもを見ていた。


「実菜穂、あそこにおるのは」

「はーい、みなもそこまで。それ以上は、ここでは教えちゃダメ!」

「なぜじゃ!相手の事を知らねば祓えまい」


 指で×をしてみせるシーナに、みなもが目を大きくして食いつく。


「ダメだよ。みなもは、過保護すぎるよ。いつでも実菜穂の側にいるわけではないでしょ。霞も陽向もだけど、一人で危機を切り抜けないといけないときはあるよ」


 シーナがすかさず、みなもにダメ出しをする。


 みなもがキュッと口を結び、実菜穂に目を向けると、実菜穂は大丈夫だとばかりに笑って頷いた。みなもの表情はまだ固いままだった。


「風よ、聞かせてもらおうか。三人がこの建物に入り、どのように祓わせるつもりじゃ。まさか、一人で各階を祓って行かせるわけではなかろうな」

「なんだと!」


 実菜穂たちの疑問を代弁するように、シーナに問う。火の神はその言葉に驚き、同調してシーナを見た。 


「ふ~ん。ほーんと、みなもには敵わないなあ。そうだよ。一階から三階は、各自が担当して祓ってもらう。先に終われば四階に行く。四階は先についた者が祓う。手に余れば、順次加勢してもいいよ。さて、ここは各自の力しだい。四階で全員が集合になる。三人で五階に行きこの建物を綺麗に浄めてもらう。そんなところかな。どう?この計画」

「それなら、霞が一階、実菜穂が二階、陽向が三階の陣取りということじゃな」

 

 みなもがシーナに確認しているのを実菜穂たちと火の神が頷いて聞いていた。ところが、シーナはさらに×を示した。


「みなも、分かってて言ってるでしょ。確かに正攻法で攻めるなら、経験が一番浅い霞が一階、実菜穂が二階、力のある陽向が三階になるけど、これは、特別授業だよ。いわば、訓練。実菜穂と霞は早く陽向に追いつかないと。だから、一階が陽向、二階が霞、三階が実菜穂ね」


 みなもがググッとシーナをに詰め寄ると、シーナはフワリとみなもを背中から抱きしめて説明した。


「みなもだって分かってるはずだよ。この配置、霞、実菜穂には荷が重そうに見えるけど、陽向が一階を片づければ、二階、三階に加勢ができる。考え方によっては有利だよ。なにより私たちの力を持った巫女ならば、この場の物の怪など相手にはならないよ。みなもは、実菜穂の力を信用してないの?」

「おまえ、何を言ってるのか分かってるのか。こいつが一番・・・・・・」

「火の神、かまわぬ。風のいうことは、理にかなっておる」


 火の神がシーナに掴み掛かろうとすると、みなもが間に入り止めた。 


「風よ、確認しておく。この建物を祓うということは、お主にもその覚悟はあるのじゃろうな」

「ふ~ん。もちろん」


 みなもとシーナは瞳を光らせ見つめ合っていた。


 実菜穂たちは、みなもの言葉の意味をこのときはまだ知ることはなかった。


 みなもが実菜穂の方に視線を移すと、実菜穂は頷いて笑った。


「大丈夫だよ。私、一人じゃない。なにより、みなもの力があるから、やってみせるよ」

「実菜穂、いや、陽向、霞もじゃ。よいか、ここで御霊を失うことはない。もし、どうしても危機だと思ったら、神霊同体を成すのじゃ。よいな。詰まらぬ遠慮はするでない」

「はい!」


 三人は顔を見合わせ、息を整えると、建物の入口へと向かっていった。

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