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コンクリートと夜の華(2)

 陽向が耳元の髪を軽く掻きあげる。その仕草は、女の子というよりは女性という方が相応しいと霞は見つめていた。実のところ陽向は、霞を見て戸惑っており、心を落ち着けるために自然にでた仕草であった。


(この子も巫女だ。私と実菜穂ちゃんを訪ねてきたのなら、氏神とみなもを知っているのかもしれない)


「私に用がありましたか?もしかして、実菜穂ちゃんのほうかな」

「あーっ、いえ。あのー。両方・・・・・・でしょうか。実菜穂さんは、ここにはいないのですか?」


 はっきり言えば用事という程のことはないのだ。シーナからニ人に会うように言われたから来だけなのだから。まさにノープランである。


「あー、実菜穂ちゃんね。う~ん、もうすぐ来るよ。待ってもらってもいいかな」

「はい。あー、勿論です」


 思わず頭を下げて地面を見た。二人がそろったところでどうすればいいのか何も思い浮かばない。陽向が快く受け入れている分、気まずくなる。


「ちょっと待ってね。もう来るよ」


 陽向が人差し指をたてて、空を見上げたかと思えば鳥居の方に顔を向けた。霞は顔を上げて陽向の姿を不思議そうに眺めた。


「おーい、ヤッホー。おまたせー」


 実菜穂が飛び込むように神社の鳥居をくぐって陽向の前で立ち止まる。手にはコンビニの袋をぶら下げていた。


「いやあ、アイス溶けないうちにと大至急で来たよ。まだ全然大丈夫。暑いから、早く食べようよー」


 そう言いながら袋から水色の氷菓子を三本取り出すと、陽向と霞に手渡していく。当たり前のように渡された霞は、遠慮する間もなく受け取っていた。


「実菜穂ちゃん、ナイスタイミング。すごい偶然だよ。用意いいね」


 陽向が袋からアイスを取り出して一口食べた。


「うんうん、不思議なんだけど気がついたら三本買ってたよ。暑さで頭も緩んだかなあ。あっ、溶けちゃうから早く食べて」


 実菜穂もアイスを齧ると、霞に笑いかける。二人の明るい笑顔に霞もアイスを齧った。暑さと緊張でカラカラだった喉を冷たい氷の粒が潤していく。体が欲していた冷たさと甘さが霞を満たしていった。いままでで一番アイスを美味しいと感じた瞬間だ。そう感じたのは、暑さもあるがそれ以上に、実菜穂と陽向の優しさに触れたからなのではと思えた。


 霞が二人から伝わる優しく解け合う雰囲気に惹かれたたことは勿論なのだが、何よりも目を奪われたのは二人の容姿である。


 まずは陽向だ。初めて見たときから目を引いたのは胸だった。キッチリと膨らみのある胸が制服に覆われている。しかも締まるところはしっかり締まっている。同じ女子である霞が思わず手を伸ばしそうになるほどだ。さらに大きな瞳を緩めて浮かべる笑顔は、何よりも安心感を与えてくれた。

 次に実菜穂だ。胸こそは陽向ほどではないが、それでも十分に女子を感じさせるだけはあった。何より驚いたのは腰の締まりだ。キュッと締まった腰にスカートが止まっている。ウエストサイズを聞いてしまいたくなるほどだ。さらに実菜穂から感じる雰囲気が霞には新鮮だった。外から包み込む陽向に対して、実菜穂は内側から持ち上げ満たしていく感じなのだ。威圧的で偉ぶることなく、かといってあからさまにへりくだっているわけでもない。スッと内に入ってくる実菜穂の空気は心地よく、親近感が湧いた。


 そんな二人の姿に霞は無意識に猫背になり、胸を隠す姿勢になっていた。というのも、霞の体型はまさにストーンとしたまな板状態なのだ。


「ねえ、陽向ちゃん、霞ちゃんは巫女だよ。鳥の痣がある。綺麗だなあ。すごいなあ」

「本当だ。琴美ちゃんの他にもまだ巫女がいるなんて、なんだか嬉しくなるね」


(二人の他にも巫女がいるんだ。あれ、実菜穂さん、いま私の名前を呼んだ?まだ私、名乗ってないのに)


 実菜穂が本題を振ってきた。陽向も自然に会話をする。全て知ってるかのように受け入れてくる。霞にとっては説明する手間がなくなったが、経緯いきさつを話すことで二人のこともよく知ることができた。知らなかった世界にまさに一歩また入り込んだのだ。


 神社から帰ると、実菜穂と陽向の話から舞の動画を初めて目にした。美しく舞う二人の姿。その二人の姿に神社で見た女子と男子の姿が重なっていることに気がついた。シーナと神霊同体になった自分の姿が、まさに動画の姿だと理解できた。


(私、この人たちと同じ学校に行きたいよ)


 霞にとって一つの目標ができた出発の日であった。そのことが関係するのか分からないが、この日を境にツインテールの少女の夢を見なくなった。

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