71. 風精霊の魔法具
71. 風精霊の魔法具
今日は咲夜さんがどこかに出掛けているようだ。なんだろうか?特に予定は聞いていなかったけど、まさか……浮気とかじゃないよな!?ってオレは咲夜さんの彼氏じゃないか……。
この前のことで少しはオレの事を好きになってくれると嬉しいんだけどな。案外、咲夜さんもオレの事好きだったりしてな。
……やめよ。オレが寂しくなるだけだ。
オレはとりあえずリビングで夏休みの宿題をやることにする。仕方ないんだエアコンがここにしかないから。さすがにこの暑さで自分の部屋ではできない。溶ける。そんなつまらないことを考えながら宿題をやっていると、咲夜さんが帰ってくる。
「ただいま。あっちょうど良かったわ」
「どうしたの?それ?」
咲夜さんは段ボールに入ったものを抱えていた。
「じゃーん。見て見て、風精霊の魔法具よ。買ってきたの」
風精霊の魔法具って扇風機じゃん。しかしこの家にはエアコンしかないから助かるのは事実だけど。
「颯太君。組み立ててほしいわ」
「ああ。わかった」
オレは箱を開けて扇風機を組み立てる。そして電源コードを差しスイッチを入れると、ブォンっと音を立てて羽が回り始める。
「動いたわ!」
「あぁ~気持ちいい……」
「本当に涼しいわね……」
しばらくリビングに寝転んで2人で扇風機の風に吹かれていると、咲夜さんが思い出したように口を開く。
「ねぇ颯太君。夜寝るとき暑くない?」
「そうだな。そろそろ限界かもな……エアコンはこのリビングにしかないし」
「そうよね……」
2人とも無言になる。オレがふと横を見ると咲夜さんと目が合う。その瞳は何かを期待していた。だからオレはその期待に応えることにした。
「……夜さ。しばらくここに布団敷いて寝る?」
「……うん。そうしようかしらね。せっかく風精霊の魔法具も買ったことだし」
「だな」
とは言ったものの……オレ寝れるかな?ドキドキしてきたぞ。
いつもはお互いの部屋があるから別々に寝てるのだが、今日からリビングで寝ることになったのだ。いや、まぁそれは別にいいんだよ。一緒に寝るということは必然的に咲夜さんと同じ空間にいることになるわけで……
うっ緊張する!今更だがこれはまずいんじゃないのか!?だって相手はあの咲夜さんだぞ!?一緒に寝るとか心臓が持たないって!!
「……ふふ。」
「え?」
「……一度雷の時に一緒に寝たのにおかしな颯太君。もしかして私に何か期待してるのかしら?なんてね?」
完全に心が読まれている。それにしても咲夜さんって意外と大胆だよな……。それとも男として見られてない?1人で焦っている中、扇風機だけは快調に風を送り続けるのだった。
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