45. 迷い
45. 迷い
来る翌日。オレにまだ迷いはある。しかしそうも言ってられない。大きく深呼吸をして部屋を出ると、そこには準備の終えた咲夜さんがいた。
「おはよう霧ヶ谷君」
「おはよう咲夜さん」
咲夜さんの格好は黒のワンピースに白のレースをあしらったものだった。胸元にはシルバーのネックレスが輝いている。
「どう?似合ってるかしら?」
「……えっと」
率直に言うなら似合いすぎている。普段から大人っぽいと思っていたが、今の姿を見るとその言葉しか思い浮かばない。この前の清楚な感じもいいけど、こっちも可愛い。
「似合っていると思うよ」
「思う?」
「あっいやその……すっごく綺麗だよ!」
思わず声を荒げてしまう。恥ずかしいなもう!でも咲夜さんは嬉しそうに微笑んでいる。
「ふふ。及第点だけど、まあいいわ。さあ行きましょう」
「ああ」
咲夜さんと偽りの恋人を演じることになっているが、待ち合わせの場所には別々に行く。極力バレないようにはしていきたい。それに今日は休日で人も多いだろうから、一緒にいたらすぐに噂になってしまうかもしれない。それは避けたいところだ。
玄関まで来たところで咲夜さんが立ち止まる。
「霧ヶ谷君。面倒なこと頼んじゃってごめんなさい。昨日は嬉しくて1人で騒いでいたけど、よく考えたら押し付けてたと思うから。その……イヤなら断ってもいいよ?」
「え?」
そう真面目な顔をしてオレのことを見つめる咲夜さん。その顔は申し訳ないという気持ちと不安が伝わってくるようだった。そんなことを思っていたのか……。
確かに昨日のはいきなりすぎたとは思ったが、別に嫌ではなかったしオレにとっても嬉しいことだから……。
『咲夜さんが好きです。オレと付き合ってください』
……それを口に出す勇気はまだオレにはない。弱い男だと思う。情けないとも思う。
「……いいんだよ咲夜さん。大丈夫だから気にすんなよ」
「本当に?無理してない?」
「うん。全然平気だ。」
「そっか……よかった……」
安堵したように息をつく咲夜さん。やっぱり優しいんだな……。オレなんかのためにここまでしてくれるなんて。そんな感情と同時に咲夜さんのために何とかしてあげたいと改めて覚悟を決めるのだった。
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