第3章 置物
高校3年に上がる前私は市外への引っ越しと転校をすることになった しかも突然親から告げられた転校だったので頭の中は真っ白だった。 正直転校には慣れていた 小さい頃から5回は転校していたのだ。 けれど市外に引っ越しはまた別のもので方向音痴の私には道なんてさっぱりなのだ。
進路のこともあるので正直転校などしたくはなかったし友達なんてできるのかわからなかった。
それに部活動もするのか正直悩んだ やったところで1年しかやらないからだ。体力は小さい頃からあまりなかったし中学時代はグラウンド4週で息を切らしていた
中学時代の部活動といえば美術部だった
正直することなさすぎて暇だった。
そして高校3年になるまで帰宅部だった。
そんなことを考えていると転校先の同じクラスの男子から陸上部の誘いがあったのだ。
試しに入部することになったが当然ついてはいけれずタイムは伸びない。
私と夏輝の出逢いは駅前の交差点だった
道に迷っていた私に声をかけてくれた。
「どうかされましたか?」
「あのー、この辺で書店ってありますか?」
「あっ、ありますよ、僕もちょうど書店に行くので付いてきてもいいですよ」
私は夏輝の後ろスガタを見ながら追いかけた
その背筋はやや曲がっていて少し猫ぽさがあり、右頬にはナイフでひっかれた傷が脳裏に焼き付くのだ。
「趣味ありますか?」と尋ねると夏輝は髪をかいた
「趣味ですか、ギターと読書ですかね。」
「読書は私も好きです、ミステリーが特に好きで…」
「僕はどちらかというと恋愛が好きですね」
彼の不思議な感覚を覚える
それはどこか懐かしい感覚だが違うようにも思えた。