表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/37

ある街のある部屋

○ある街のある部屋



 そこは暗くても明るい場所だった。

 暖かくもあり冷たくもあった。

 要するに、ちょうど良かった。


「ねー、何しているの?」


 ある者は、机に光を灯しながら座っている少年に尋ねた。すると少年は背中を向けながらこう返事した。


「ひ・み・つ」


 両者の間に沈黙があった。それは、気まずい沈黙ではなく、心地よい沈黙だった。


「ねー、実際のところ、何をしているの」

「ん? 日誌を書いている」

「日誌?」

「その日にあったことを、紙に書くんだよ」

「へー、そんなことしているんだ」

「まあね。一応、旅の思い出に」

「前からしていたっけ?」

「いいや、最近になって始めたんだよ」

「へー。珍しい」

「何が珍しいんだい?」

「だって、君が新しいことを始めるんだよ。あの何に対しても興味がなく、いつも同じことばかりしている君がだよ」

「うるさいなー。黙ってくれよ」


 すると、再び静かになった。カリカリと筆が進む音がした。


「ねー」

「今度は何だい?」

「そこに書く内容に関してなんだけど」

「言わないよ」

「いや、何を書いているのかを教えて欲しいわけではないんだ」

「じゃあ、何だい?」

「あの、一つの提案なんだけど」

「言ってみて」

「その、オイラを主役にして書いて欲しいんだ」


 再び冷たい沈黙になったが、すぐに暖かい笑い声が出てきた。


「はっはっは。それでは日誌ではないよ」

「そうなの?」

「そうだよ。それは小説とかになるんだよ」

「じゃあ、小説を書いてよ。オイラが主役のやつ」

「また、気が向いたらね」

「あー、それ、気が向かないやつー」


 その言葉を無視して、筆を置いた。その後に、暖かい沈黙が訪れた。そして、再び言葉が聞こえた。


「ねー」


 ……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ