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初心者サポート1人目

 最初に来たのは東の最初の町。ここは明治時代くらいの日本の建物が立ち並んでいる。ここの町の中心は江〇城をモデルにしたのがまる分かりな大きな城がある。そこは都市の中心になっているので、基本はNPCと仲のいい人しか中心部に入ることができない。なので一般的には掲示板の前にある広場がプレイヤーの待ち合わせ場所として使われているようだ。なので、私もそこで会えるように連絡しておく。

  今回のサポートでは万能に動けなきゃならない。まあ今までも一人でいろいろとやってきたので、いつもと変わらない。そんな訳なので、私がいつも使っている装備なのだが・・・

 自分で言うのも恥ずかしいのだが、私はこの世界で一番強いというのは事実なのだし職人としての技量も私が最高峰なのだ。つまり、そんな私が素材から厳選して作った最高の装備を使っているわけなので第一の町程度ではかすり傷もつけられない。それどころか、ちょっと殴っただけでオーバーキルになってしまうのでうまく教えられなかったら申し訳ないな・・・

 まあやってもいないのに考えても仕方ないので、実際に本人に会ってから考えよう。


 6日目、私は第一の町の掲示板前に来ていた。

 昨日の晩、ログアウト直前になって運営からメッセージが届いたときはびっくりした。内容は、明日から実装されるサポートに関することで担当してくれる人は運営の偉い人なので失礼のないようにといった事だった。

 なんでそんなに偉い人が担当してくれるのかはわからないが、こっちは教えてもらう立場なので失礼にしないのは当たり前なのだがしっかりと教えてほしいことを教えてくれるのかが心配だなぁ。


 そんなことを考えながら待っていると、

「おはようございます。あなたが、カグラさんで合ってるよね?」

「おはようございます。はい、合ってますよ。ところで、名前を伺っても?」

「これは失礼、私はイルと言います、韓国語で1という意味らしいですよ。今日はサポートよいうことで、いろいろとアドバイスさせていただきますのでよろしくお願いしますね。立ち話もなんですし、移動しましょう。ついてきてください。」

 そう言って歩きだす。ついていくと、街の中心近くにある屋敷の一つについた。塀に囲まれた屋敷の門に手をかけ、ためらうことなく開けた。どうぞ、と促され入る。彼女は玄関を開け、靴を抜いで上がり座敷に招かれた。

「さて、あなたの戦闘スタイルを伺ってもいいですか?」

「そうですね、最終的には全部の武器を扱えるようになりたいと思ってますが、今はロングソードの練習をしてます。魔法は自己強化と簡単な初級魔法を少々使えるくらいですね。」

「なるほど、では今回は直剣と魔法の練習でいいでしょうか?」

 うーん、どうしようかな・・・

「ちなみに、どの武器がおすすめとかありますか?」

「そうですね、、特におすすめなどはありませんね。というのも、私自身全部の武器が使えますが・・・

人によって得意、不得意がありますからねその人の癖がないのは直剣ですね。あとはその人に合わせて武器を調整すると、意外とどんな人でも使えるようになったりしますよ」

 なるほどな、確かにそうなのかもしれないうだがそうすると今回はどうしたらいいものか・・・

「悩んでるようなので言っておきますが、このサポートは今後も利用できますので気軽にやりましょう。ということで、今回はロングソードの訓練をしましょう。とりあえずに庭に出て模擬戦でもしてみましょうか。」

 そう言って彼女に連れられて庭に出たのだが・・・

 え?このサービスって初回だけじゃないの?確かにサービスについては何も言っなかたが、それでは初心者サービスとは何なんですか!まあいいでしょう、今回だけではないのなら気楽にやりましょう。

「そうですね、では今回はロングソードを中心に剣系統を教えてもらっても?」

「了解しました。では、木剣を使ってさっそくやっていきましょう。本気でやってくださいね?死に物狂いで抵抗してください。さもないと相手にもならないので。では、やっていきましょうか、気を強くもってくださいね!」


 

 彼女、相当私のことを疑っていたようだね。開発者たちが私のことのついて、このゲームの偉い人だと紹介したらしいそのせいでかなり怪しまれているらしい。私は偉いのではなく権限があるだけなので、もっと気軽に接してほしいのだが、あと私はAIとはいえ女なのでもっと安心して接してほしいのでだが・・・

 性別については注意をしたのは私なので仕方ない。


 さて戦闘に集中しなければならないのだが、彼女はどうやら状態異常の一つ萎縮状態になっているようで震えている。レベル差が大きい敵と敵対したり、相手に対して恐怖心があるとなる状態なのだがこうやって対面しているだけで萎縮してしまっているらしい。うーん、仕方ないか。



 怖い、恐ろしい、逃げたい、いや、やめて、まさかこうなるなんて思わなかった。

 彼女は気を強く持てと言った。まったく意味が分からなかった、だけど今は分かる彼女は私たちとは全く違う次元にいる。ただ前に立っているだけで感じる圧倒的な威圧感がそれを物語っている。

 

 どうしよう、なんて考えていたらフワッとした優しい香りに包まれる。

「ごねんね、少しやりすぎてしまったみたい。大丈夫よ、そんなに怖がらないであなたを傷つけたりしないから。安心して大丈夫よ・・・」

 そんな優しい言葉をかけられ、思わず彼女に抱きついてしまう。現実でもこんなに泣いたことは無かった。恥ずかしかったが、彼女のぬくもりは抗い難いものがあった。

「ありがとうございます、おかげで落ち着きました。」

「すいません、レベル差が大きすぎると敵対すると萎縮の状態異常になってしまうんです。私がもっと気を付けていればなんとかなったのですが、本当にすいません。あと、一応言っておきますが私は女なので安心してください。」


 思わず赤面してしまった。そうだ、この人は男の可能性もあったのに安心してしまった。まあ女性だったのだ、良かった。それにしてもそんなにもこの人は強いのか。確かに現段階で戦闘服を作ることはできないので、それを作れている時点で相当強いだろうと予想はできていたのだが所詮はサポート用に作られたアバターだと思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。

「模擬戦はできそうにないですね。では、振りかたからやっていきますか。。」


 彼女の教え方はとても丁寧だった。剣の握り方から始まり県の振りかた、刃のたてかたや相手をうまく切るコツなど手取り足取り教えてくれた。途中の休憩時間中にイルさんがなぜ強いか聞いたところ、

「文字通り死に物狂いで戦ったんだよ。自分より強い相手にもたくさん挑んだし、たくさんの敵に囲まれたこともある。だけど、しっかり戦況を読んで動くことで今まで負けなかったから。だから、私は今までリスポーンもデスペナルティも受けたことがないのよね、嫌みに聞こえるかもしれないけど頑張ればできるからやってみて。」

 やってみてって・・・

 このゲームのように、リアルの技術を必要とするものにおいてノーデスというのはかなり難しい。ゲームのシステムによって感覚が強化されたりすることはあるが、それでもゲーム世界において巣の戦闘能力でAIに勝つことは一般人が勝てる可能性というのは限りなく無理に等しい。

 まあ今のところは、やられることなくやってきているのでできるところまでやってみよう。


 そんな感じで休憩をはさみながらやっていると、あという間に12時になっていた。

 4時間でロングソードの熟練度が200中70まで上がり、スキルも最もよく使う連撃のスキルが200中100まで上がった。彼女の言う通り、動作アシストを切って練習した方が熟練度の上昇は早かった。スキルも、自己流に工夫することができるようになり圧倒的に使いやすくなった。

 ただ私は親との約束で、勉強を疎かにするわけにはいかないので午前か午後のどちらかはあまり時間が取れない。なんとも悔しいのだが、こればかりは仕方がない。

「それでは今回はここまでですね、と言いたいところですがもう少しだけ時間をもらえますか?5分ほどでいいのですが。」

 なんだろう。たぶん大丈夫だとは思うけど、何かあったのかな?

「どうかしましたか?」

「いや、練習ばかりでまったく実戦をしてなかったので私が戦ているところを見てもらおうかと思いまして。どうでしょう?」

「是非!お願してもいします。できれば全力で戦っているところを見たいのですがいいですか?」

「それはいいですが、見えないかもしれませんよ?いいんですか・・・」

 え、見えないの。それは困るけど、彼女の戦闘を見れるのは今回だけではないみたいだしせっかくの機会だ、お願いしよう。

「・・・わかりました。だけど、絶対に動かないでくださいね。少しでも動いたら最初の私との戦闘と同じ状態になってしまいますので。少し移動しますので、しっかりつかまっていてくださいね。」

 そう言って彼女に抱きかかえられらたと思った、次の瞬間には私は空中にいた。正確には、彼女に抱えられている状態なのだが。

 それでも、さっきまでいた町があっという間に遠のいていくのはなかなかに怖かった。

 着いたのは始まりの町と同じくらい大きな城だったのだが、怪しい雰囲気が外からでも分かるレベルで溢れ出ていた。

 大丈夫かと聞いてくる彼女に頷くと、もう少し頑張ってねと微笑む彼女。

 彼女は私を抱えたまま城の外壁を駆け上がり、天守閣まで到達するといつの間にか腰に差していた脇差しを抜き壁に円く穴を開けた。

 中は外見以上に広く、25メートルプールがすっぽり入ってしまうくらの大きさだった。中央には9本の尾をゆらゆらさせている白い狐が一匹、殺気を立ててこちらを見ていた。

 私を壁際に降ろすと、私のいる床に魔法陣を一つ描いてそこから出ないように言って狐と向かい合った。



 カグラちゃんには悪いけど、全力で戦闘して巻き込まない自信はないんだよなぁ・・・

 とりあえずスポーツサングラス型の魔道具をかけ、。これは私の自信作の一つで、視界の保護の他にも思考操作系統の保護もおこなえる優れものなのだ。

 今回の相手の名前は妲己、玉藻前と呼ばれることもある。妲己の基本的に、自分の手下を使った物量戦が基本だ。妲己自身は、魔法を使った遠距離攻撃とバフ、デバフを使い、近距離では尾や爪、牙をを使ってくる。集団で相手すると、思考操作系の能力でパーティ内の混乱を狙ってくる厄介な敵なのだが、肝心のデバフはほとんど効かない。攻撃も私からしたら大したことは無い。全力とはいかないが、6割くらいの力で相手しよう。

「よくも私の城を壊してくれたな。だが、主なかなか美しい顔をしておるな。どうだ?主が私に仕えれば今回のこと不問にしてやるぞ?」

「・・・口上は終わったか?では、こっちも時間が迫ているのでね早々に終わらせてもらおうか。」

「そうか、ならば死ね!」

 私は即座に行動を開始する。妲己は、自分の周囲に自分の手下を魔法陣を使って召喚しているので、即座にその魔法陣を破壊する。すでに召喚されてしまった手下は、ほとんどが人型の男ばかりなので脇差し同様腰に差してある太刀で縦に一刀両断する。

 味方へのバフをやめ、自分強化を開始している妲己に肉薄する。

 迫りくる尾を弾きU字型に曲げた杭で地面に縫い留める。振り下ろしてくる爪を弾き上げのけ反る奴の首を絞めにかかる。うーん、この子を殺しても特に加工に使える物を落とすわけではないから倒す意味がないんだよなー

「どうする?このままやられたい、それとも見逃してほしい?」

 自分の力が全く通じないのを痛感したのかがっくりと頭を垂れる妲己。

「・・・そうだな、今回は見逃してもらってもいいか?私はまだ死にたくない、それに主は私のことをいつでも倒せるのだろう。ならば、私くらい逃してくれてもいいだろう?」

「そうだなぁ~どうしよかなぁ~。決めた、後でまた来るからここから動かないように。動いたら・・・

分かるよね?」

 少し凄むと顔を青くして頷いていた。これでいい他のプレイヤー達に被害が及ぶことは無いだろう。

 他のRPG系ゲームは、ボスが一定のエリアから出ないようになっているのですが、なぜかこのゲームはそのシステムがつけらえれていない。そんなことしたら、ボスが暴走する可能性があるのだがその抑止力になるのも私の仕事なのでめんどくさい。

 まあそんなこと今はどうでもいいや。カグラさんを連れて帰ろうか。



 結局、彼女の剣筋は何も見えなかった。分かったのは、彼女がとんでもなく強いということだけだった。

 何か話をしていると思ったら、急に現れた狂ったいろんな種族の人たちが出てきたと思ったら彼女に襲い掛かってきた。彼女は、そんな人たちを気に掛けることもなく倒してしまった。基本人型の相手は知性が高く、なかなか倒すのが難しいのだがいとも簡単に彼らを倒している。

 それだけではない、中央にいる狐が放っている様々な魔法を片っ端から無効化している。

 狐の取り巻きを倒したと思ったら、狐自身からの怒涛の猛攻を難なく弾きながら狐に近づき組み合う。そのままなすすべなく固められる狐。その状態のまま何やら話す二人、具合の悪そうな顔をして頷く狐に満足そうな顔をしているイルさん。

 狐から手を放し、刀を戻してからこちらに戻ってくる。

「どうでした?何してるのか、ざっくりとしか分からなかったと思いますが・・・

 良かったんですか?実際に見えるように戦うこともできたんですが、また今度の機会にやりますね。では次回の話、をする前に屋敷まで帰りますか。」

 

 帰ってきました、東の大陸第一の町の屋敷。カグラさんは、意外にを落ち着いてるな。

「では、次回はどうしますか?」

「では、明後日の朝、、この時間帯にまたお願いします。」

 明後日の朝ね、メモしておかないと。たぶんポーチの中にメモ帳に入ってるはず、よしあった明後日の朝ね。

「了解しました、最後にせっかくこのサービスを使ってくれたのでお土産にどうぞ。中は簡単に作った物を何点か入れておいたので、たくさん使ってください。多少雑に使っても壊れないので、気軽にt買ってください。」

「ありがとうございます。存分に活用させてもらいますね、今日はありがとうございました。次もよろしくお願いします。では、失礼します。」

 

 そう言って彼女は町の方へ戻っていったのを確認して、私は次のプレイヤーの元へ向かう。

 次はどんなプレイヤーなんだろうな、楽しみだな!

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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