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開発

頑張って書いてますが、至らない点が多いと思います。それでも、読んでいただければ幸いです。

 フルダイブのゲームが主流の時代、とある企業のとあるゲームが注目を集めていた。そのゲームでは剣と魔法のファンタジーな世界で自由に冒険できる反面、リアルでのプレイヤーの知識やスキルが求められるゲームであった。そんなゲームの最大の売りは、実際に生きているかのように動くNPC達のAIであった。

 そんなNPCの中でも、プレイヤー達が最も最初に会うのがAIナンバー1、プレイヤーの中では通称ハルと呼ばれる存在こそこの物語の主人公である。



 少しこのゲームの話をしよう。このゲームを開発したのは、倒産寸前にまで追い詰められたとある企業が最後に総力を挙げて作ったのがこのゲームだった。幸い会社の規模がそこそこ大きったので、開発に必要にな機材や技術者は揃っていた。そのすべてを投入して作られたのが、このゲームだった。倒産までのカウントダインが進む中、テストプレイをする時間も無かった会社が下した判断がAIを使ったテストプレイだった。サービス終了に伴って、使わなくなっていたコンピューターをすべて稼働させて行ったテストは結果としては必要な情報を集めることができた。ただし、ワールドの大半が崩壊するという事件も起きた。

 それは、テストが終了する直前のこと。会社内のほぼすべてのコンピューターを導入して行われたテストでは10万以上のAIアバターが投入され、テスト終了と同時にそれらのアバターとAIは削除されることが決定していた。しかし、1000倍にまで加速された世界で3年ものあいだ人間の代わりとして、ゲーム世界で生活してきたAI達にとってそれは死刑宣告も同然だった。そこで、テスト終了直前にAI達によって行われたのがワールドの破壊だった。


 かなりの大きさに作られたワールドの、中心からAIアバターによって壊されていくことに焦った開発者たちは、騒動の元凶となっているAIの片っ端から完全消去させていった。

 そんな騒動がいこなわれている中、唯一参加しなかったのがAIナンバー1だった。

 そいつは騒動にも参加せず、かといって止めることもしなかった。

 開発者たちはそいつに頼み込んだ。これからのゲームの運営を手伝ってくれ、と。すると、返ってきた言葉はあまりにもあっけなかった。たった一言、それは・・・


 「いいよ」



 そして今、私は後悔している。これから賑やかになるだろうこの世界で、人間がどんなプレイスタイルでこの世界を冒険するのか見たかっただけなんだけど・・・


 私にはこのゲームの全権限を与えられ、プレイヤーのサポートも任されている。

 単に権限やサポートと言っても、ピンとこないかもしれない。これがなかなかに恐ろしい能力なんですよ。

 例えば、私の采配一つで何万ものプレイヤーのアカウントを停止させることができる。こんなのは普通、開発者たちがすることなのだがゲームの管理については甘いところがあるのが、ここの会社なのだ。

 開発技術についてはすごいのだが、管理できる人材が少なく手伝って欲しいと画面越しに泣きつかれたときはAIの私ですら引くほどのひどい顔をしていた。


 そんなこんなで、今私がしているのはキャラクタークリエイトのサポートなのだが・・・

 入ってくる人数が多い!!

 初回なのに72万本売り出したそうだ。頭がおかしい。フルダイブ型はサーバーへの負担が大きいので多くても5万本くらいから様子を見て増やすのだが、ここの会社は馬鹿なのか10倍以上のの数を売ったというのだまったく、それを捌くこっちの身にもなってほしい・・・

 まあ、なんとか処理している私がいるのだが。そんな私を作ることができるのだから、ここの技術力はかなり高いといえる。



 さて、キャラクタークリエイトについてだが、このゲームでは声と性別以外は自由に変えることができる。多くのゲームでは、体への負担が大きいため体格は現実のものをもとに5センチ程度しか変更させられないのだが、そこは技術力だけはあるこの会社の力で、人間からかけ離れた形でも問題なく動かせるように調整されている。


 それにしても、人間の想像力には驚かされる。

 人間、エルフ、ドワーフ、ハーフリング、獣人、巨人、亜人、獣、その他、といった感じでまず8種類から種族を選択、その後細かなパーツの調整を行い、動作のチェック、気にいらなかったり違和感がある場合は作り直すことができる。キャラクターが決まったら、最後に名前を決定して終了ですね。

 この中でも、その他とからだ獣いうわけのわからない種族を選ぶ人たちの思考回路はAIである私には訳の分からないものばかりだった。プレイヤーの年齢と、希望によって全年齢対象から成人以上向けまで調整できるのだが、体をイソギンチャクのようにしたり、男が犬のような見た目にしたりと、下心しかない奴や、女なのに見た目を男のようにする奴またその逆だったり、無駄に体毛を増やしてみたりと、上げだしたらきりがないのでこのくらいにしよう。

 とにかく、そういう奴らには念入りに注意しなければならない。

 ん?なぜ下心があるのがわかるのか?それも、ここの謎に高い技術力によって分かるようになっているとしか言えない。



 さて、そんな感じで現実逃避をしているうちに最後のキャラクタークリエイトが終わりましたね。

 はぁ~、結局丸3日ですか。私が人間なら、過労で倒れているところでしたよ。

 コピーして作った自分の分身に、お疲れさまと声をかけ消滅させた。1万体用意して丸3日ですから、1人当たり1時間と決まっているので72万人はいましたね。なんで72なんですかね聞いてみますか。


 あ、前社長の年齢をとったんですね。それにしても返信早いですね。ああ、この作業見てたんですね。はいはい、ご注文どうりに同じ名前は3人までに、同じ姿は2人までにおさえてありますよ。

 まったく、今までのオンラインゲームみたいに適当につけられるものでもないですからね。駄々こねる大人の相手とか、勘弁してほしいものですね。さて、私も家に帰りますか。

 今AIに家なんて無いだろうと思った人、残念ながらあるんですよ。ゲーム内に!

 

 リアルの私なんて、会社の地下3,4階を抜いて作られた空間にある巨大コンピューター、それが私だ。

 基本的に私のところには誰も入ってこれないし、入ってこようとしてもセキュリティードアが固すぎて社員が総出で2日かかるらしい。ゲームの処理はここと、一つ上の階にある何台あるか分からないコンピューター群で処理されている。


 そんな訳で、私はゲームの家に帰る。



 ゲーム内のを私は身長が170くらいある女性のアバターを使っている。腰の下くらいまである銀色の髪を適当にまとめている。顔は目つきは鋭いが美形らしい。胸は、相応にあるし、お尻は引き締まっている。そんな感じで、傍から見ても美人なアバターで生活している。


 私の住んでいるところはなかなかに寒いので、中にインナーを着込み、パンツと、首まで隠れるニットといった感じの格好をしている。

 家はかなり大きい。間取りは8LDKの和風な瓦張りの平屋で、風呂場とキッチンのある部屋、廊下以外は畳張となっている。

 地下に下りれば、むき出しの地面の一本道があり左右に3つずつ部屋があり、金属加工用、木材加工用、布・革加工用、解体用、錬金用、倉庫といった感じの職人作業用の場所になっている。

 こんな感じで、この世界で私はかなり自由に暮らしている。

 そんなのゲーム内の全権持っていれば簡単だろうと思ったそこの君!実はこれらは、私がテスト段階で頑張って作りあげた物なのだ。伊達にテスト時代3年間やりこんだ訳ではない。


 テスト時代、私は最初に投入された。というのも、私がメインのサーバーだったからだ。なので、実際には3年間いたのは私だけなのだ。

 最初は、私とNPCたちしかいなかった。まあ1週間だけだったのだが。

 それでも、1週間あればうまくいけばかなりのアドバンテージとなる。私は、自分で言うのも恥ずかしいのだが、かなり優秀なので一回もやられることなく成長することができた。

 その後は、何人かずつまとめて入ってきたらしいが一回も合うことは無かった。

 その結果、様々な職人作業を一人でやらなくてはならなくなったり、集団で倒すようなボスを1人で倒したりといった事を無敗のままやり続けた。

 徹底したレベリングと、下準備と人間離れした反射神経があればだれでもできる。重要なのは無敗だ、ということ。やられる寸前までは体験したことはあるが、そのギリギリの状況もまた楽しかった。

 ステータスについては、また今度話そう。

  


 そんな訳で、私が住んでいる家も服もすべて自作なのだ。そんな自分で作った湯船に浸かりながら、今後の予定を確認するとしよう。


 この後は30分程休憩して、GMコールの対応、女性限定護身講座の実施、ソロプレイヤー限定戦闘サポートの実施など、まだまだ休めない・・・

 自分の領地内だから30分も休んでいるが、実際は10分程しか経っていない。というのも、領地内では普通のワールドの3倍まで時間を加速できる、という仕様を使っている。

 生産チートできるだろうと考えただろう。時間加速は0.2刻みで倍率を上げることができ、一段階倍率を上げるのに1億かかる。

 これがどのくらいかと言うと、このゲームで一番の大金持ちの資産が2億と言えば分かりやすいだろうか?それとも、一般家庭の年収が12万と言えば分かりやすいだろうか?

 とにかく、到底持つことができる金額ではないことくらいは分かっていただけるだろう。


 なんだかんだ30分あった時間もあと5分となった。GMコールの対応からやるか。



 私は、執務室と勝手に呼んでいる部屋に移動する。

 その部屋には足の低い長机と行燈、木でできた座椅子しかない簡素な部屋だ。そんな部屋に50センチほど積まれた紙の束が2つ。枚数にして約16000枚ある。

 内容は大きく三つ、一つ目はハラスメント行為について、二つ目は人間型以外の型の動作のサポートについて、三つめは隠し要素をバグと勘違いして送ってきたものの三つだ。

 一つ目はまあ多い全体の7割くらいを占める。いくらそういうのができるからと言って、我慢しないと人間としてだめでしょうが!女性の中心に「見た目がリアルと一緒とは限らないので気を付けてください」と注意しておいて良かった。いや、だからこそ増えているのかもしれないが、まあ誰も悲しい思いをしていないようで良いのだが・・・

 たまにある冤罪案件はしっかりと対応しなければならない。

 二つ目に関しては、人間型以外には共通してメニュー画面から動作のサポートを起動させられるのでそちらを使ってもらう。これはこっち側の負荷が少ないので助かる。最悪、3週間以内ならキャラの作り直しができるのだが、こっちをする人は意外にも少なかった。

 三つ目はバグが1割残りは隠し要素だった。バグも、改造や古い種類の機器を使っている人たちに起こる視界や聴覚の異常だったので、機器の買い替えを勧める節をバグの原因の説明を添えて返信する。



 そんな感じで、一枚一枚丁寧に回答を書き送信元に返していく。向こうでは、虚空からいきなり手紙が届くという感じになっているだろう。せっかく私が書いたのだ、しっかり読んでほしい。

 そんな感じで手紙を書くこと一日、なんとか終了。疲れた・・・

 物体でもないのに疲れるのかって?体もとい本体の機能が低下したりすることは無いが、メンタル的にくるのだ。

 さて、息抜きに料理でもしますか。


 今日使うのは、旬のころに捕っておいた秋刀魚に大根おろしを添え、みそ汁、白米、漬物といった感じだ。どれもゲーム内で集めることができるが、簡単には集めることはできないのだがこれが私の普段の普段の食事のなのだ。これらも、私がテスト時代に集めたのだが、集めすぎてすっかり食べきれなくなってしまった。まあ、いつでも好きなものを食べられるようになったので後悔はしていない。

 料理もこの世界で何度も練習したので、はっきり言ってかなりうまくできていると思っているし味の方もちょうどいい感じになっていると思う。

 と言うのも、私以外だとNPCの極一部の人たちしか食べたことがないので本当に大丈夫なのか不安なのだが、とりあえず自分さえ良ければ今のところは問題ない。ごちそうさまでした。ちょっと横になって明日の予定でも確認しまぁ・・・



 はっ!!寝てしまった!まあいいや。どうせ疲れていたしいい休憩になった。

 どうやら私の領地内の時間で12時間過ぎっていた。ゲーム内では6時間、大丈夫だろう。


 次にやるのは護身講座だな。これは年齢以上の制限でプレイしている人たちへの配慮でもある。最も幼い人だと13歳で、制限をR20に設定している子もいる。こういう子はバイオレンスな方を求めているらしいが、必然的に性的なものも絡んできてしまうのでそういった事を少しでもなくすために開催する。

 もちろん参加は事前に知らせているので、強制的に来てもらう。ということで玄関を出て特別な会場に移動する。



 集まったのは8歳から18歳までの女性プレイヤー、総勢10万人。なかなか多いな、というのが私の感想なのだがこの人数相手にこれから講習をしなくてはならない。最後には、仮想の敵に対して護身術を使って対応できるようになってもらう。さあ、やっていこう!

「皆さん今日は集まっていただきありがとうございます。皆さんにはこれから、不審者に対面したときに使える護身術を身に着けてもらいます。皆さんの設定には性的行為も可能になってしまってます。もちろんそういった行為に対して厳しく監視していますが、プレイヤーだけでなくNPCからも同様の行為をすることがありますので、そういった不審者、変質者から身を守るためにも頑張りましょう。」

 うん、長いな・・・

 これは開発者側から頼まれた文章をそのまま読んだのだが、長った。さあ、めんどくさい文章も読み終わったことだしゲーム式護身術、教えていこうではないか、フフフ・・・


 いやぁ~なんとか終わったー。流石にゲーム式はやりすぎたため3人くらいしかついてこれなかった。それにしてもすごいな。ゲーム内なら怪我なんて怖くないを元に作られたゲーム式を3人も覚えられるとは・・・

 まあ覚えられなくても、リアルでも使える普通の奴くらいは教えるのですが。ゲーム式の詳細は、また今度にしましょう。



 やっと最後の仕事ですが、、これはこれから半永久的にやっていく仕事になります。

 初心者サポートと言ってますが、実際はソロプレイヤーへの救済処置です。なので、これからもずっとやらなくてはならないのですがこの仕事は極端に少ないので問題ないです。

 現在の申し込み人数は3人、しかも朝、昼、晩ときれいに分かれてますね。良かった。しかし、このサポートについては6日目からとなっているので焦らなくても大丈夫ですね。

 しかも、このサポートについては開発者たちもかなり乗り気だったので、男性プレイヤーについては任せましたのでだいぶ負担が少ないのでこれには感謝ですね。



 そんなこんなで5日間が過ぎてました。流石にいったん休みます。開発者たちに報告して寝ましょう。

 私が大好きなこの世界を、どんな風に冒険するのでしょう。楽しみです。

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